何故かやたらと物々しくも素っ気ないタイトルが付いてはいるが、どんな場所どんな時代にでも通じる人間の「善行」について、その普遍性を描いた秀作である。気まぐれでもない、偽善でもない、そして宗教的政治的でもないそんな「善行」というものは、成立するだろうか。そういうチャレンジを、イングリッド・バーグマンという稀代の美人女優(妻)に賭けた監督ロッセリーニ。同じくバーグマンも、自身がバーグマンでありつつ、女優としてだけじゃなく「バーグマンとして何ができるか」へのチャレンジだったと思われる。まるで非対称のジュリエッタ・マッシーナが、ご愛嬌以上に重要な役回りで登場するが、この作品、私はロッセリーニ&バーグマンによる『道』ではないかと強く思う。
ご両人の賭けがどうなったかは、映画を見て判断してください。