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彼女たちの舞台のギルドのレビュー・感想・評価

彼女たちの舞台(1988年製作の映画)
4.0
【偶然でどこまで真実に漸近できるか?】【ジャック・リベット傑作選2024】
■あらすじ
女の子だけの演劇学校に通うアンナ、クロード、ジョイス、ルシアの四人組は、パリ郊外の屋敷で共同生活をおくっている。
ある日、同じ演劇学校の生徒で、わけありの恋人がいるというセシルが不可解な犯罪に巻き込まれたとの噂が。同じころ、四人の彼女たちに謎めいた男がつきまとうようになって─。男の狙いは?犯罪の正体は?グレーに沈むパリの街。現実と虚構が交錯する、不安な空気がただようミステリーであり、心理ドラマでありながら、名キャメラマン、カロリーヌ・シャンプティエがとらえる官能的な色彩のコントラストに加え、等身大でキュートな彼女たちの衣装にインテリアと、さまざまなディティールも楽しく心踊る一作。演劇学校の先生役に、リヴェット作品に欠かせない名優ビュル・オジェ。主役を演じる女優たち五人の鮮やかな個性にも注目。

■みどころ
面白い!何よりも女の子たちが可愛い!
訳あり彼氏を持つセシルの疑惑を追った4人の学生のお話。

映画はセシルと彼氏の行方を追うパート、演劇学校で繰り広げられる演劇の練習、アンナ・クロード・ジョイス・ルシアに付きまとう謎の男のやり取り…の3パートを非線形に展開していく。

この映画も『パリでかくれんぼ』と同様に歌う・踊ることが特徴的な映画ではあるが、演劇の練習を入れる事で意図的に現実と幻想を掻き立てる映画になっている。
まるで演劇や歌う事に真実を追求する儀式の様に見立てて偶然の底力を見せ付ける。
それだけでなく全体的に華があって、説明を差し引いたり急な展開などで間合や緊迫感の取り方もスタイリッシュですげー良い!
音楽の止め方はゴダールらしさを感じ、鏡の扱い方、終盤のルシアが取った行動…それらの緊迫感の与え方は純粋に凄かった。

そんな劇映画と日常はやがて溶融し、セシルの彼氏にかけられた疑惑を先どって裁判ごっこするシーンがある。
検察官・裁判官の帽子をコップ・皿で代用するシュールさもあるが、ここでも真実を追い求める姿と真実を追う事への自問自答に繋がって興味深かったです。

全体的に面白い映画ではあるものの、人数が多いが故に偏りが生まれていったりそれをまとまりきれていない散漫な部分も感じた。
面白い映画だし絵的に華やかで眼福なのは間違いないけど、もう少しコンパクトにまとめても良いんでない?と思ったり。
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