松井の天井直撃ホームラン

信さん・炭坑町のセレナーデの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

-
↓のレビューは。今はもうなくなってしまった映画レビューサイトに、鑑賞直後に投稿したレビューを。こちらのサイトに移行する際に、以前のアカウントにて投稿したレビューになります。

☆☆☆★★★

※ 昨今流行りのノスタルジックな作品。

主演が小雪だけ在って、どうしても『ALWAYS 三丁目の夕日』とダブってしまうのですが。寧ろ時代考証に於いて三丁目の夕日よりも、CGを使っていない分だけ手作り感が強く、好感が持てる作り。
但しその分だけ2時間ドラマっぽくなりすぎてしまっている気もしますが…。

一応映画の流れは、まもるの目線から見た炭坑の町の人達。そして友達との別れに町の衰退。
でも時々友達だった信さんの目線に移行したり。母親役の小雪の目線から見た信さんの素顔や、町の人達との触れ合いの場面も在って、統一性となると少し疑問符が有る。

それでも作品を鑑賞している間に、それらをあまり感じさせないのは、平山秀幸監督の力だと思える。

子供時代の子役達がとても活き活きとしている。この辺りの描写に於ける、若い頃に日が暮れるまで友達と外で遊んだ経験の有る人には、懐かしさで胸が一杯になってしまうでしょう。後に柄本時生が引き継ぐ在日朝鮮人役の男の子は、よくぞ見つけて来たなぁ〜…とまで思った。

歳を取ると少しずつ少年は大人になってしまう。もう昔のような誰かれともなく、遊んだり集まったりが気軽に出来なくなってしまう。人が変わり町が変わり、触れ合いが希薄になった。それでもあの当時の、他人を思いやる気持ちが人の心から無くなる事は無いのだろうと信じている。

そっと後ろから信さんを抱きしめる小雪の優しさ。「おいは鉄人29号たい!」とやせ我慢をする信さん。

在日朝鮮人として子供に怒らない様に諭すヨンの父親役の岸部一徳とヨンとの別れの場面。
そして出番は少ないが、信さんの母親役である大竹しのぶの存在感の凄さ等々。

地味だけど見応え充分の作品でした。

(2010年11月30日銀座シネパトス1)

※ 当時『ALWAYS 』のヒットの影響は大きかったですね。