ろく

不都合な真実のろくのレビュー・感想・評価

不都合な真実(2006年製作の映画)
3.0
「人間って死ぬ直前まで「死ぬ」って思ってないらしいのよ」(バイオレンス・アクション)

長期の問題は先送りされ短期の問題だけが取り扱われる。だから環境問題がどうしても「先送り」されるのは自然ですよって話。

だって目の前で死にそうで辛そうな人に「このままいくと地球はあと50年で確実に大変なことになる」って言ったって、そんなことより明日の命だよって言われてしまうのよ。どうしてもその意見の前では環境という話はなかなか伝わらないのよ。だって「環境は大事だけど職がなくなるのはもっと大変」。先日見た「水俣曼荼羅」だってそうじゃん。結局自分たちの「不確かないのち」より「目の前のお金」なんだよ。そしてそんな人を説得するのは難しい。いやSDGSなんかで必死に説得しているのは分かるよ。でもその一方でそれをお金儲けにする人がやっぱり出ているじゃん。排出権の問題やエコカーの認定問題。そこには当初あった「環境への配慮」は雲散霧消し、ただただ「環境問題と言うロジックでまた経済を回そう」という魑魅魍魎のすみかになる。

だからみんな「地球温暖化」が起きていると言っても慌てない(いや慌てても仕方ないと思っているのかも)。でもこれはファクトなんだよ。もう体感でもわかるくらい地球温暖化が起きているし、その結果、災害は確実に増えている。この映画がつくられて15年経つけど、人口は増えすぎだし、温暖化は起きているしと決していいことではない。でも「あと30年先でしょ」「20年先でしょ」「10年先でしょ」怖いなぁ。僕は結構こんなことが怖くて仕方ないんだけど。

と地球温暖化に関しては書いたけどこの映画は正直、面白くない。温暖化を訴えたいならもっとその「画」を見せて欲しい。映画なんだからそこが出来るはず。ゴアの演説だけではぴんとこないんですよ。映画は書物や論文と違うから「事実」や「論理」に関しては1歩遅れると思っている。でも僕達を動かす「力」が映画にはあるはずなんだ。その「力」がこの映画にはない。ゴアの演説だけでは僕らは動かないんだよ。

「ファクトフルネス」では「確実に起きている」と言って間違いないこととして「地球温暖化」が挙げられている。ほかの項目には審議が必要だと言っているのにだ。自分たちでできることをしましょう、この映画でも訴える。それは大事だ。でもその結果出てきたのがトランプみたいな者でなかったか。どうすればいいのか僕もわからないが(ほんとにわからないんだ)、その一つのキーが「教育」ではないかと勝手に思っている(甘すぎるか)。
ろく

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