小難しい!
ベルナルド・ベルトルッチ初期キャリアの代表作であり、映画史に残る紛れもない金字塔。
冒頭から不親切極まる堂々たる初見殺しの複雑怪奇な脚本、そして意味と実験を幾重にも重ねた絵画のようなめくるめく映像体験が、観るものを2時間圧倒し続ける。
借り物の「芸術的な映画表現」ではなく、映画を新たな「芸術」として押し上げようとする気合いの次元が違う。思想と才能と野心を爆発させ、人間の美しさを徹底的に美しく、醜さを徹底的に醜く描き切る輝きのコントラストは奇跡としか言いようがない。
ナルシシズムに酔った浅薄な理想主義者はイタリアが抱えるコンプレックスそのものであり、幸福も不幸も愛も死もうたかたの幻のように描くメッセージはその後の作品にも通底している。
時代を超越した作品であり、おそろしく当時の時代を反映させた作品でもある。初見ではほとんど理解できなかったのでいつか劇場で見直したい。