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暗殺の森のTakaCineのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.5
【中毒性が高い映像美】
たぶん映画史上でも、トップレベルの映画美を誇る本作を、大スクリーンで鑑賞してきました😍✨

「午前十時の映画祭13」ありがとうございます🙇‍♂️

《映像美に酔いしれる》
ベルトルッチ+ストラーロ(『ラストエンペラー』1987)という黄金コンビが、若き20代30代で作り上げた芸術性溢れる傑作。

レンブラントのように光と闇が共存する鮮烈なコントラスト、巧みに計算された印象的な色彩、変幻自在に変化する構図…言葉では表現しきれない、息を呑むような至福の映像美から目が離せません👀

書ききれないけど…凄いなあ~と思ったところを、ちょっとだけ書いちゃいますね😝

目に焼き付く鮮やかな色彩感(寒々しいブルー、眩い夕日のオレンジ、病院の無機質なホワイト、血を連想させるレッド、etc.)やユニークな構図(地面から捉えた舞い散る落ち葉、不安を煽る斜め構図や揺れ動くカメラ、etc.)にゾクゾクしました😂

ジョルジュ・ドルリューの音楽も素晴らしかった👏

物語は政治色(ファシズム)を帯びて少し難解、更に謎めいた主人公の心理描写も不可解で…集中力が切れそうなところを、奇跡的に魅惑的な映像があるから、最後まで飽きずに観終えることができました😂(理解には、政治や思想面を勉強すると良いのでしょうが)

意味が分からなくても、全編、眼福な映像に心奪われて、それだけでチケットを買った価値がありましたよ🤩

ぜひ一度は、本作の映像に酔いしれて頂きたいです。

そして何回でも観たくなる魅惑的な映像美でした😂

《美しすぎる女たち》
本作に出てくる2人のミューズ、ステファニア・サンドレッリとドミニク・サンダが非常に美しすぎます😍💕

クラシカルな風貌で、ちょっと頭弱くてエロチックなサンドレッリ(谷間と後ろ姿ヌードあり)、クールで圧巻の美貌と射抜くような視線と大胆なヌードまで披露するサンダ(◯っぱい好きっす)、どちらも素敵でした😘💕

この2人に、主人公マルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)が翻弄されるのも頷けます😌

そして見せ場は、ダンスホールで披露される美しきミューズ2人のタンゴ♪

ヤバいくらい、美しく官能的で優雅なタンゴに、身も心も溶けてしまいます😍💕

ダンスを終えて、抱き合う2人が少女みたいで可愛い🤩💕

そしてサンダの凄絶な表情が忘れられない、サヴォアの深い森のシーン。哀願から絶望に変わる、サンダの声にならないうめき声。

その時の、世の中の全てを遮断したような、車窓ガラスの隔ての演出が凄かった!

《自分を見失った男》
トランティニャンが演じたマルチェロの「同調してでも生きようとする男」が切ない…というよりもどかしい(こんなに優柔不断なのに、いい男だとモテるのね😓)。

トラウマやコンプレックスのために、自らを「異常」と思い、「正常」に生きるために、結婚をしてファシズム(当時、大多数の思想)に傾倒する男なのですが、行動規範が全て「同調」なんですね😰

なんとも頼りなく芯がなく、ついには「卑怯」とも言われてしまう男ですが、僕はこの男の気持ちが至って分かります😢

この男にとって、自らの「異常」は恥ずべきことであり、糾弾されるくらいなら、誰もを魔女狩りのように突き出してでも、自分を守る覚悟なのだと。

でもその「異常」に思い違いがあったと知ってしまった男には、今後どんな人生が待っているのでしょうか?何を拠り所に生きていくのでしょうか?

自分を見失って、同調してしまう心理…そんな心理が、戦争や集団暴動を当たり前に引き起こしてしまうのでしょうね😱💦

マルチェロのような男の心理は、自分の中にもあります「同調していれば間違いない!」…人類の長い歴史の中でも、大多数が間違っていることもありますからね😱💦

観終わってから、そこに戦慄させられました。

《備考欄》
テンション上がったのが、マンガニエッロ役のガストーネ・モスキン、どこかで観たことあるなあ?と思っていたら、やっぱり『ゴッドファーザー PART II』(1974)のドン・ファヌッチ役の人だったんですよね!

あの顔の圧とダミ声で気付きました🤗

原作:アルベルト・モラヴィア著『孤独な青年』(原題: Il conformista「体制順応者」の意)
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