藻尾井逞育

ブエノスアイレスの藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
4.0
「俺は確信した。会いたいとさえ思えば、いつでもどこでも会えることを。」

お互い愛し合いながらも何度も別れを繰り返すゲイカップルの2人。今回はやり直すため、香港を離れ地球の裏側アルゼンチン、ブエノスアイレスへ。イグアスの滝へ向かう途中道に迷い言い争い、そのままケンカ別れへ。その後旅費を稼ぐ為にドアマンとして働くタンゴバーに彼が転がり込んでくる。

全編を通じて、ピアゾラの切ないタンゴのメロディが、2人の心の絡み合いを奏でます。お互い惹かれ合いながらも、傷つけることしかできない男たちの刹那的な愛。それでも離れることができない2人の愛を寄り添うことなく、見ているこちらが辛くなるくらい突き放して描いて見せます。ファイが何度も作る中華料理にも、相手への愛情が込められているのがわかります。
ところで、パスポートは最後ちゃんと返してあげてますよね⁈パスポートを取り上げたまま、異国の地で「会いたいと思えば、いつでもどこでも会える」って言っているとしたら、ちょっとひどくない⁈