"可哀想な人だと思った、軽薄ぶって。
素直に小心者として生きればいいのに"
自分がどんな人間かなんて本当は全然わからない。何を大事に思っているのか。いま誰を求めてるのか。どんな未来を望んでいるのか。衝動に駆られ、常に移ろう矛盾の中で、あなたに語りかける。その言葉の中に、自分にかんする手掛かりがあるかもしれないから。
それにしても、こんなに冗長で突拍子もない会話劇がどうしてこんなにも心地良いんだろう。
濱口監督は、リアルであるのとは全く別の次元で、わたしたちの「ほんとう」を描いている気がする。少なくとも、この映画のラストは「ほんとう」のこととして、深く心に刺さった。
