個々のショットや言葉ではなく、1日1日の「反復」が生を肯定する。それは、数ある表現ジャンルの中でも、映画だからこそ（映画館だからこそ）可能な、特別な「肯定」の仕方なんだとは思う。
ただ、トイレ掃除という労働と、この生活以外選びようがない困窮を、単に「肯定」するだけでいいのか･･･複雑な気分は残った。私もまた誰かが磨いた便器に向かって排泄し「公衆トイレ」というシステムの恩恵を享受している側の人間として、この主人公に対して「共感する」とは絶対に言う資格がないと思ったし、こうやって、見えないところで社会を支えるきつい労働を、本人が丸ごと「肯定」してくれることほど、社会にとって都合のいいことはないと感じた。
