CHIPOCO

市民ケーンのCHIPOCOのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.8
無性の愛を求めるが、与え返すことは恐れるのが人間である。
与えているものだと、お互いが錯覚するが、改めて独りよがりになっていないかと思惟し続けるのが大切であるのだ。
この映画にそう説かれたような気がして、しかしそれはピースの一つに過ぎないのかそれそのものがマスターピースなのかは自分の一方通行な人生軸でゆっくり考えていこうと思う。
新聞王逝去の報を受け、通史を編纂しようという流れから、彼に縁のある人物たちにインタビューをするという形式の回顧録であり、初っ端のパプリックイメージから出来た仮の通史を、ドンドンと肉付けしていくような様は、まさしくジグソーパズルを作り上げているような感覚であった。
ウルフオブウォール・ストリートも影響されていそうな序盤の会社が軌道に乗り始めたパーティシーンの絶頂から転落していく展開で、別々の人物が語る人物像なのに、時系列で栄枯盛衰を肌感で触れる事ができる。
そして核である、彼の最期の言葉「Rosebud」の意味が、最期のピースでハマる時、彼の心のどこが欠けたままだったのかもわかってしまう構図が脱帽ものであった。
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