荒澤龍

時計じかけのオレンジの荒澤龍のネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

<物語>
・犯罪を重ね好き放題生活するアレックスがある日ついに捕まり、牢獄へ入れられる。懲役は14年。ある時、刑務所の逼迫を改善するため政府管理の新しい更生プログラムが発案され、治験者を募集する。その報酬は更生と共に釈放されるというものであった。
・更生プログラムの参加を勝ち取ったアレックスであったが、プログラムの内容はある薬物を投与し犯罪映像を観るというもの。映像を観ているうちに暴力や性行動を取ると激しい抵抗感が出現し、そういった行動を取ることが不能になる。
・プログラムを終え無事釈放されたアレックスであったが、悪の限りを尽くしていたために様々な人柄復讐を受けついには自殺未遂を起こす。
・最新の更生プログラムであったため、アレックスの動向が社会で注目される中での自殺未遂であり、更生プログラムの強制力などが問題視される中、アレックス自身は自殺未遂のショックからか元の性格に戻っていく。

<感想>
・音楽、小物などのディテール、会話のセンス、登場人物のキャラのインパクトにワクワクする。
・冒頭の会話や独特な世界観から、ストーリーが難解な芸術色の強い作品かと身構えたが、予想に反して起承転結がわかりやすかった。その中でも独自性や芸術性を残しているのが素晴らしい。
・ずっとバックで軽快な音楽がかかっているのが、暴力的、性的シーンに不思議なギャップを産み、コミカルにさえ見える。
・クラシック音楽が拷問になるのは芸術点が高い。


<覚書>

(wikipediaからの引用)
・自由放任と管理された全体主義とのジレンマを描いた、サタイア(風刺)的作品。
・アレックスが二度目に作家の家を訪れたときに登場するマッチョな男は、『スター・ウォーズシリーズ』でダース・ベイダーの中身を演じたデヴィッド・プラウズである。

(考察サイトからの引用)
・タイトルの意味は?
元々ロンドン東部の労働者階級が使っていたスラング(俗語)。「表面上はマトモに見えるが、その中身はかなりヘン」という意味で、「Queer as a Clockwork Orange」(時計じかけのオレンジのように奇妙な〜)という言い回し。
・アンソニー・バージェンス(原作者)が一時期暮らしていたマレーシアの言葉では、人間のことを「orang」(オラン)という。「A Clockwork Orang(e)」=「時計じかけの人間」とも解釈できるのだ。
「The」は特定の何かを表すが、「A」の場合は不特定多数のなかの一つを表す(中学校で習いましたね)。つまり特定の誰かを指し示していない分だけ、あらゆる人間が「時計じかけ」になり得る、という警告として響くのである。
荒澤龍

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