カトゥ

間宮兄弟のカトゥのレビュー・感想・評価

間宮兄弟(2006年製作の映画)
3.6
原作を、より優しい視点で映像化した、そんな映画。
くすっと笑える場面が数分ごとにある。ぱっとしない、でも生活スタイルを確立している兄弟のマイペースさは、人によってはイライラするかもしれない(一緒に観た人が、そうだった)。



『小さな幸せが続けば人生は楽しい』、それはうっかりすると忘れてしまう、ひとつの“見識”だと思っている。
昔の歌にある言葉、「幸せ、という何かが存在するのではなくて、この自分こそが自分を幸せにする」を思い出す。
人生に目的を設定し、夢を追い、周囲に認められる生活を続ける。それはひとつの「幸せへの道」かもしれない。でも当たり前のことだけれど、人生そのものは無目的だ(生物の存在に目的が無いことに似ている)。あくまで幸福追求のツールである「夢」に囚われ、不幸になる人の、いかに多いことか。他の生き方だって、十分にあり得るのに。
主人公達の、ある種奔放な優しさは、そんな当たり前を再認識させてくれた。


ふと思ったが「間宮兄弟」が、例えば中南米あたりの話だったら、一緒に観た友人もすんなり受け入れてくれたかもしれない。あるいはポルトガル辺りを舞台にしていたら、「素敵」と言ってそうな気もする。

僕は好きです、この映画。
カトゥ

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