東京駅を出発した新幹線に爆弾が仕掛けられたことを受けて、国鉄と警察の協力体制による、空前絶後の捜査劇が開始される。時速80キロ以下に減速した時点で起爆するという、惨憺たる状況を描いている、パニック映画。
国鉄側・警察側・犯人側のドラマが交錯していくスタイル。事件の裏側には、社会的底辺部の人間によるジタバタ&テロリズムが内包されており、筆者の大好物となる「負け犬要素」「敗北の美学」が描かれる。
爆弾が確認されてからの急展開では、今現在の鑑賞にも耐えられるほどの緊迫感が迸る(電話のオウム返しがヒドイけれど)。とりわけ、新幹線の完璧なシステムが仇となり、イレギュラーな対処法を推し進めることができない、というモチーフが面白い。
サスペンスを作るための創意工夫が若干ながら空回りしており、日本国民が固唾を呑んでいる雰囲気がイマイチ伝わってこないが、当時のハリウッド産パニック映画の模倣作品としては、紛れもなく最高水準。海外人気も宜なるかな。