59年のセルフリメイク『浮草』は傑作でした。そのオリジナルでもある今作は昭和9年に作られたサウンド版（音楽付きサイレント）で、U-NEXTでは倍賞千恵子さんと寺田農さんの新音声版を配信しています。
旅芸人一座の座長・喜八が、かつて自分の子供を産ませた女性おつねの住む田舎町に興行に訪れる。久しぶりの親子での再会を喜ぶ喜八だったが、同じ一座にいる今カノがおつねに嫉妬してひと騒動起こす…というお話。リメイク版よりシンプル！
観終わって“いい作品だったなぁ”とボソッと言いたくなる。そんな余韻。
この当時ですでに小津様式になっていて、サイレントという時代を考えるとめちゃくちゃ完成度が高い。セルフリメイクするほどだから、よほど思い入れがある作品なのかな。アメリカ映画『煩悩』を下敷きにしているとのこと。
喜八シリーズ2作目ということでお馴染みの坂本武さん、そして飯田蝶子さんがいいんですよねぇ。『父ありき』で印象的だった釣りのシーンのシンクロと反復は今作が最初かな。小津さんは父と息子を描いても良き♡
