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冬の光
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『冬の光』に投稿された感想・評価

茶一郎

4.1
 ベルイマン初期作『牢獄』に「広島の原爆から始まったこの時代は、悪魔が世界を引きずり回し、人々を操っている」というセリフがありました。『第七の封印』以後、ベルイマン作品に一貫するその「世界の終末観」、「日常になった地獄描写」が特に顕著に、寒々しい冬景色として映画全体を支配しているのが本作『冬の光』です。

 前作『鏡の中にある如く』から始まる、「神の沈黙・不在」を嘆くベルイマンの「神の沈黙三部作」。この三部作は、敬虔なキリスト教司祭であった父に抑圧的な生活を強いられてきたベルイマンの父(イコール神)への反発が現れた「だから俺はオヤジが嫌いなんだ三部作」と言い換えることができると思います。
 そして本作『冬の光』は、ベルイマンのトラウマであるオヤジが主人公の作品であり、まさに物語はそのオヤジの説教から始まります。
 本作の主人公であるトマスは「売れない牧師」、信者のいない教会を回りガラガラの教会で神を説いている牧師です。信者はもちろんのこと、トマス自身も妻を亡くした事から神の存在を疑うようになり、神の沈黙を嘆いています。(もちろんのごとく、ベルイマン作品でダメダメ父兼信仰者を演じるのはグンナール・ビョルンストランド)

 前作『鏡の中にある如く』では間接的にネチネチと、父への批判をしたベルイマンですが、この『冬の光』では亡き妻とトマスが抱えている愛人から直接的に父を批判していき、観客はただトマスが追い込まれていく様子を見続けます。いやはや『冬の光』は非常に辛い「神父はつらいよ」、「神を信じまったモンはつらいよ」型ムービーでした。
 愛人を多く持っていたベルイマン。ある種の表現者として観客の動員を気にするトマス。『野いちご』、『鏡の中にある如く』同様、ベルイマン父のアバターは父とベルイマン自身が融合した奇妙なものになっているようにも思います。そう考えると『冬の光』は自虐的な作品に見えます。

 『牢獄』での原爆、『第七の封印』におけるペスト、それらは『冬の光』において中国の原子爆弾に置き換えられ、世界の終末観を強調していきます。
 この地獄の中で主人公が見るのはタイトルにある「冬の光」です。神の「沈黙」こそ神の受難であり、神の唯一の言葉は、神の「沈黙」である、と。
のんchan

のんchanの感想・評価

3.8
イングマール・ベルイマン鑑賞8本目❗️

1人の牧師(聖職者として)の1日を追い、心の中をそのまま正直に見せるだけの86分。


先に個人的なことを言えば、信仰心はありません。育った環境は普通のサラリーマン家庭だったけど、祖母がいて、毎朝、お仏壇へ"オボクサマ"にご飯を供え、生花を飾り、常にお菓子や果物を供えている家で育ち、月1回お経を唱えに来るお寺様が来た時には、手を合わせなさい🤲と言われてそうしていた。お盆、お正月には特に丁寧に。

でも高校は学校法人ノートルダム◯◯清心学園で、クリスマスミサ🎄とかしてました😅
そんな感じで、宗教に拘りはなく何も信仰しておりません。

けれど教会の牧師の考え方に興味を持って鑑賞しました。


この主人公は極々俗世の普通の人間だと言うこと。
4年前に愛する妻を亡くし、それからは信仰心も上辺だけ。教会に来る人々も形だけ。助手もオルガン弾きもボランティア?

独身の女教師が牧師を好き過ぎて、奥さんの亡くなった後に、2年間一緒に暮らしたようだが、心底牧師に嫌われている。それでも日々教会へ通う痛々しさ。更にあからさまに態度と言葉で教師を嫌う牧師。やるせないな〜...


端から神がいると思っていない私は、聖職者って形だけ、お飾り(クソ坊主とかって本当にいるし)と思ってるので、やっぱりね〜と観れましたけどね💦

ベルイマンもそこを言いたかったんだと思ったらスッキリしたわ。
神の不在を自覚しつつも牧師という仕事を続けなければならない

到底一回で理解できる内容ではなかったからもう一度見ようか。ベルイマンの父親が聖職者であること、そしてベルイマンに虐待をしていたことを考えると、本作品はその父親への復讐とも捉えられる。神に対して、ひいては信仰に対してかなり懐疑的だったのか…。神の返事を待ちながら人間に対して「神を信じなさい」と説くことがどれだけ残酷なことか。自分に都合の良い神を作り出したんだ、とヨナールに告白した瞬間から、教会を照らす光が少し強くなった気はした。

ラストシーン。主人公が罵倒しまくった家政婦の祈りが印象的だった。冬の光が彼女を照らし神秘的な輪郭を作る。「勇気をください」という彼女の祈りは届くのか。信仰は厳しい行為だなと思う。


もう少し読み解けば、もっと深い内容に気がつけるのか。だとすると凄まじい傑作である。もうすでに素晴らしい作品なので。

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