金宮さん

ストロベリーショートケイクスの金宮さんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「恋愛体質の女性4人それぞれの淡々とした日常と悩み」

乱暴に表現するとそんな感じ。でも鑑賞中にそれは乱暴すぎだと反省する。繊細で丁寧なキャラクター造形により悩みの解像度が格段に上がっており、恋愛体質などといった低俗なワードはあまりに失礼だと気づく。

例えば、恋に恋する里子とちひろのキャラが被ってしまいかねないところ、里子には天真爛漫さを、ちひろにはトラッド・ワイフ的な個性を宿すことできっちり区別し共感の幅を広げている。

原作の見事な設定が土台となっているのだろうと想像される。その機微に演出もキャストもきっちり応えており、観てる側も登場人物の苦しみを追体験することになる。だからこそ、ゆっくり前を向くラストはじんわりとした爽やかを残してくれる。

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終始、厭世的な表情の秋代が菊地と会っているときだけ本当に活き活きとした表情になる。そんな居酒屋のシーンでかなり心を掴まれた。だからこそ一晩を共にするシーンは「きっとこれで前のように会えなくなるよ。大丈夫?」と本気で心配になった。中村優子さんは今作で受賞もしているようでしたが、かなり納得。嬉しいと切ないを混ぜた表情が上手すぎる。

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2005年近辺は、レンタルビデオで手当たり次第に邦画を観まくっていた時期だったんですが、今作はもれていたのを後悔。やはりこの時期のインディー系邦画はなんか良いんですよね。いまより躊躇なく静かなトーンの作品がバンバン出てた印象です。

なんとなく加瀬亮さんつながりで『ロックンロールミシン』なんかを思い出しました。頑張った創作(今作だと塔子の絵、『ロックンロールミシン』だとTシャツ)がどこかの誰かにポジティブを与えるというラストで連想して。

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mgmnさん、おすすめありがとうございました。
土曜の夜中に観るのにぴったりなこんな作品をまさに探してました。
金宮さん

金宮さん