BOB

肉屋のBOBのネタバレレビュー・内容・結末

肉屋(1969年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

クロード・シャブロル監督のクライム・スリラー。

フランスの小さな田舎町。校長も務める小学校の女教師が、同僚の結婚式で出会った肉屋の男と仲を深める。ある日、偶然発見した殺人現場に、男に贈ったライターが落ちているのを発見する。

💑🔪🩸

『野獣死すべし』に続いて、本作も面白かった!クロード・シャブロル・サスペンスにハマりつつある。

私が愛した人は殺人犯だった?型心理サスペンス。恋愛心理×犯罪心理で、最後の最後まで揺さぶってくる。愛する相手がどんどん信じられなくなっていく感じは、ヒッチコック監督の『疑惑の影』っぽい。

悲劇的な恋愛ドラマ。10年近く恋愛と距離を置いている小学校教師と、戦争から帰還した肉屋。結婚式で出会った二人が、新しい恋愛によって、心に負った深い傷を癒そうとするが、大事な"告白"時に決定的にすれ違う。戦争のPTSDが原因で殺人衝動が抑えきれなかった男、シリアルキラーだと判明しても男への愛情を捨てされなかった女。最初で最後のキスシーンは悲哀に満ちていた。

ぽたぽたとパンに血が落ちてくるシーンが強烈。夜中の階段に映るナイフを振り上げているように見える人影や、真相を告白した男がナイフを取り出すクライマックスも、身の毛がよだつホラー描写だった。

主演のステファーヌ・オードラン(『バベットの晩餐会』)は、話が進むにつれて、"ヒッチコック・ブロンド"に見えてきた。対するジャン・ヤンヌは、『ノー・カントリー』のハビエル・バルデムを想わせる得体のしれない気味悪さがあった。

クロード・シャブロル監督作品。『いとこ同志』『野獣死すべし』『肉屋』と、これまでに観た全3作とも悲劇的なラストを迎えている。

不吉なオープニング。鍾乳洞と、原始人が描いた動物の洞窟画。伴奏も不気味。

"学校の扉・窓を開ける/閉める" = "相手を受け入れる/閉め出す"

490
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