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スパイダーマンのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
4.0
ミッドタウン高校に通う冴えない青年Peter Parker(Tobey Maguire)は、校外学習で訪れたコロンビア大学で「遺伝子操作によって生み出された新種の蜘蛛」に噛まれる。これにより驚異的な能力を得た彼は次第に自信を持つようになるが、私利私欲を優先した彼の行動によって大切な人が命を落としてしまう。


◆ With great power comes great responsibility.

MARVELコミックスの大人気ヒーロー《スパイダーマン》を実写映画化。今や世界的に大ヒットを記録しているMCUシリーズが誕生するよりも前に、Sam Raimi監督によって撮られた初の実写版スパイディムービー。

MCUは壮大すぎて完全に乗り遅れてしまいましたが、今作は世代的にどストライク。スパイダーマンといえばTobey Maguireが一番しっくりくるのです。

内気で冴えない青年が突然手に入れたギフテッドは、驚異的な蜘蛛の能力と超人的な運動神経ならびに感覚神経。冴えない虐められっ子が突然こんな能力を会得したら、今までの青春を取り戻そうと調子に乗ってしまうのも無理なからぬことの様な気がしてきます。

そんなPeterをきちんと諭してくれるのが、早くに亡くなってしまった両親に代わって幼い彼を引き取り育ててくれた伯父さんのBen Parker(Cliff Robertson)でした。年頃の甥っ子から心無い言葉を浴びせられても、彼に対する愛情が揺らぐことのなかった伯父さん。そんな伯父から最後に受け取った言葉が、後に生まれるヒーローの心を支える軸になっていることは言うまでもありません。

ー大いなる力には、大いなる責任が伴う。

そして、伯父との最後の会話で投げつけてしまった心無い一言。自身の独善的かつ浅慮な判断によって伯父が命を落としてしまったという事実。一生消えない罪悪感と絶対的な伯父の正義は、ある種の呪いとなって一人の青年の人生を縛り付けることとなるのです。

ーThen stop pretending to be.
(父親ぶるのはやめてくれ。)

ーI missed the part where that's my problem.
(僕とどんな関係があるんだ。)


◆ You know, I'm something of a scientist myself.

今作のヴィランは軍事企業《オズコープ社》が開発した身体能力増強剤の副作用により生み出されたグリーンゴブリン。底上げされた身体能力に加えて、企業が開発した小型爆弾やエアグライダーを武器に戦います。ザ・ヴィランを地で行くビジュアルのパワードスーツ。戦闘用のスーツとしてはちょっとヤバいセンスだと思いますが、ヒーローの敵としては文句なしのデザイン。

同社の代表Norman Osborn(Willem Dafoe)が自らを被検体として強行した人体実験により生み出されてしまったヴィラン。一人息子を父子家庭ながら育てあげた(女運が無かった模様)上に、科学者として多くの論文も発表してきた様です。両親のいないPeterの後見人になることも辞さないほどの御仁である彼が闇堕ちしてしまう経緯にも悲しい事情が・・・。科学者と怪人という二面性を持ったキャラクターをW.Dafoeが好演していました。流石の演技力に脱帽です。

グリーンゴブリンとの戦いを経て、Peterと親友のHarry Osborn(James Franco)との間に軋轢が生じるのも本作(ひいては後続のシリーズ作品)における見どころの一つ。しっかりキャラクターについて深掘りされているため、人間ドラマも見応えがあります。

本シリーズにおける正ヒロインのMary Jane Watson(Kirsten Dunst)を中心に展開されるロマンス要素を含ませたキャラ同士の関係性も見所なのかもしれませんが、キャラの深堀がしっかりされすぎているため、MJが好きになれませんでした。Sam Raimi版スパイダーマンの嫌いなキャラランキングとかあったら結構上位にくい込んで来るんじゃないかな。