ユカリーヌ

題名のない子守唄のユカリーヌのレビュー・感想・評価

題名のない子守唄(2006年製作の映画)
3.8
【過去に観た映画】2007.12.17

キャッチコピーは
『女は哀しみを食べて生きている』

重い映画である。
日曜の朝に観る映画ではない。

案の定、初日の初回なのに単館映画館内はガラガラ。

冒頭からスリリングなシーン。

穴から覗く不気味な「目」の前で、仮面をつけた全裸の女たちが品定めされている。

愛と謎に満ちたミステリー。
ひとりの女が「過去」から逃れようとするが、容赦なく「過去」は迫りくる。

現在の生活と過去が交錯し、ラストの「謎」へと迫っていく構成。

淡々としつつ、謎を秘めた女の現在の生活とハードなSMのような衝撃的な過去のシーンが
対比される。
同じ女であるのに、同じとは思えぬほどの過去の女と
現在の女。

多くを語らせず、女の表情や小道具で女の心情を見せていく。

より、ミステリアスに展開していく。

嘘を一つつけば、嘘を重ね続ければならないよう、
過去の過ちを消そうとすればするほど、過ちを重ねていく……そんな虚しさが胸をしめつける。

救いのない過酷な運命をしいられ、過去の過ちは消せないことを突きつけられる。

ラストは予想通りの謎が解き明かされ、残酷な「真実」に涙した。
でも、最後の最後のシーンには希望の光が見え、
うれし泣きしてしまった。


重く暗い闇の中にも一筋の光があれば、人は生きていけるのかもしれない。

映画の中で、「防衛本能欠如」という少女が登場する。
だから、少女は生傷が絶えない。
そんな少女を親たちは、危なくないようにと取り扱うが、
主人公の『家政婦』は、少女の両手足をぐるぐる巻きに縛り、
起き上がらせようとする。

心を鬼にして、何度も少女を突き飛ばし、自力で起きられる
ようにさせる。
そして、やられたらやり返すことを教える。
このシーンは、主人公の少女への「愛」を感じさせ、
涙があふれた。


これは男性にとっては理解しがたい映画であり、
怖い話かもしれない。
女性にとっては哀しく、せつない映画だ。


自分が書きたいと思うテーマがある。
その参考になる映画だった。
いつか、私に文章能力が備わったら書いてみたい。
ユカリーヌ

ユカリーヌ