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赤い砂漠のmimicotのレビュー・感想・評価

赤い砂漠(1964年製作の映画)
3.8
画家アンリ・マティスの〈赤いアトリエ〉や〈バラ色のアトリエ〉を思わせるシーンがあると知って気になっていた作品。思ってたのとは少し違ったけれど、効果的に使われていてテンションが上がりました。

心を病んでしまった美しい人妻ジュリアーナが、心の隙間を埋めようとするお話。フラフラと不安定な心で彷徨うモニカ・ヴィッティ美しい。

何と言っても色彩による心理描写が素晴らしかった。
灰色の工場群の煙突からモクモク噴き上げる煙
ひと気のない寒々とした灰色の街角  
突然現れる不審な黒い船...
延々と続く、重苦しくどんよりした色の中に突然、原色が現れる。
終始ジュリアーナの孤独と不安を感じるような映像演出がお見事。
そして色彩と構図が結びついて、まるで絵画のようだった。これが監督の初めてのカラー作品。改めて色彩感覚の才能に感動しました。

環境への配慮が皆無なのも見ていて恐ろしい。あんな町に住んでいたら心が病んでしまうのもわかる気がします。

子供に話聞かせた"青い海と少女のおとぎ話"がキラキラ美しく、とても印象的。
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