アキラナウェイ

ザ・ブルード/怒りのメタファーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.5
クローネンバーグ監督作を少しずつ開拓中。キモグロくて非常によろしい。

トロント郊外の治療施設で、"サイコ・プラズミック"という最先端セラピーを受ける女性、ノーラ。しかし、彼女との面会を終えた娘キャンディの体に無数の痣(あざ)を発見した夫フランクは、彼女とその治療法に不信感を募らせていく—— 。

テーマは"怒り"。

そして、怒っているのは、
他の誰でもない、監督自身。

本作制作時、クローネンバーグは最初の妻と娘の親権をめぐって泥沼の離婚調停を繰り広げていたそう。

妻への怒りを
監督自身の私怨を
こんなにも作品に
反映させて良いのだろうか…。

ノーラを演じたサマンサ・エッガーは、クローネンバーグの元妻にそっくりなんだとか。ラストで思いっきり首絞められるけど…。公私混同甚だしいな。

ノーラの両親、キャンディの担任教師の惨殺事件。其処に蠢く小さな影。

顔面は悪魔の形相なのに、パステルカラーのダウンジャケットが可愛くてギャップ萌え。

人を殺める小人の正体は—— ?

からの〜

ノーラの〜

「これを見ても貴方はまだ私を愛すると言うの!?」と言わんばかりに見せつけられる、子宮外子宮によって産み落とされる、怒りの産物!!胎児の身体を包む膜を舐めて剥がしていく嫁のケモノ的狂気。

このシーンは度肝抜かされた〜!!

いや、正直、小人達(特殊メイクを施された子役ちゃん達)にいくら襲われても、「これで死ぬか?」程度にしか思えなかったけど、ノーラの秘密が明かされるシーンのキモグロさは俊逸。

リンパ肉腫も気持ち悪かったな〜。
トライポフォビア的嫌悪感を抱きつつ、
巻き戻して二度見しちゃう。

キャンディを演じた子役ちゃんが、「シャイニング」風にドア越しに襲われるシーンの悲鳴も、演技の域を超えて、マジの絶叫だし。

これはかなりヤヴァイやつ。
終盤から一気に面白くなる。