No.1603
1958年 アメリカ映画
監督・主演はオーソン・ウェルズ
オープニング。アメリカとメキシコの国境。誰かが爆薬らしきものを高級車に仕掛けた。
その車に、金持ちらしい男と女が乗り込む。そして走り出す。
この車と前後しながらヒゲの紳士と女が歩いていく。車が近寄ったり、離れたりして、危ないと思いながら観客は観ている。
この紳士、よく見るとチャールトン・ヘストンだ。
カメラが次第に引いて、アップテンポの曲が流れる。オーソンウェルズ、なかなかセンスがいい、これは面白そうだと思う。
テロップが終わると車が爆発する。
この始まりはすごく期待させる素晴らしい出来。
(※と、書いたが、後で他の評価を見ると、やっぱりこのオープニングが褒められていた。そうだろうと思った。)
あの車の側を歩いていたのは新婚旅行の途中にそこを訪れたメキシコ人麻薬捜査官のヴァルガス(チャールトン・ヘストン)と彼の新妻スーザン。
爆発されたのは地元の有力者リネカー氏が運転する車だった。
ヴァルガスは、スーザンをホテルに帰し現場の調査を開始する。
アメリカ側の捜査責任者として現場に現れたのは、ハンク・クインラン(オーソンウェルズ)と名乗る跛足で肥満の老刑事だった。
クインランは担当した事件の犯人を必ず捕まえることで有名であり、警察関係者から凄腕の警部として崇拝されていた。つまりボスなのだ。
車に爆弾が仕掛けられたのはメキシコ領だったとして捜査へ参加すると主張するヴァルガス。そんな彼に対してクインランは敵意を隠さない。
このクインランという刑事は実はとんでもない男だったのだ。
我々はハンクがどんな男かわからないが、その威圧感が凄い。オーソン・ウェルズの貫禄を感じる。この男とヴァルガスの闘いが面白くない訳がない。
ところが編集のせいかなのか、私がこのストーリーについていけないのか、なんだか展開がチグハグしていて、すんなりと楽しめない。難しいのだ。
加えて、メキシコの若者、モーテルの親父、グランディー家の主などの演技、個性がどうもピンとこない。彼等がどんな人間なのか理解できない。変な感覚でこれは初めて味わうものだった。
と言うことで、結果的には面白い作品であるのだが、不満が残った。