ガブXスカイウォーカー

男たちの挽歌Ⅲ アゲイン/明日への誓いのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

4.0
『男たちの挽歌』シリーズ第3弾。マーク(チョウ・ユンファ)の過去を描く・・・・けど、1、2作目のような男たちのストレートな任侠物を期待するとちょっとガッカリするかも?

今作の舞台は主に1974年、ベトナム戦争末期のサイゴン。ドラマはマークとマイケル(レオン・カーフェイ)とシンジケートの女幹部、キティ(アニタ・ムイ)の恋愛模様が中心。キティはマークを好きだが、マークは身を引き、マイケルを立てる。すれ違う男たちと女。切ない。

キティは不器用なマークがつらく当たってきても、決して怒ったり嫌ったりせず、常に凛とし、言い訳もせず、耐える、尽くす。強い。どれだけいい女なんだよ!

もはや『男たちの挽歌』シリーズとは別物、マークじゃなくても成立するじゃん、と思うことだろう。たしかにその通りなのだが、いちおうマークのトレードマークである、ロングコート、サングラス、咥えマッチを出したり、香港に旅立つシーンでは例のメインテーマも使われたりと『男たちの挽歌』とリンクさせてはいる。

アクションは今まで以上に派手だ。みんな、跳んだり跳ねたり転げ回ったりと撃って撃って撃ちまくる。シリーズ最高の予算で、爆発もバンバンあり、大量のエキストラが動員されている。クライマックスではなんと戦車まで出てくる。CGなんてない時代なので、戦車も爆発もエキストラも本物だから迫力が違う。

今作は監督が代わったので雰囲気はだいぶ異なるが、1、2作目同様、主人公たちは、友情、愛、義理、人情のために命を懸けて戦い、感動を呼ぶ。驚くことに男たちだけでなくキティも暴れまわる。ジョン・ウー監督の1、2作目は女が脇役だったが、ツイ・ハーク監督の今作は女も主役だ。『男と女の挽歌』なのだ。『男たちの挽歌Ⅲ アゲイン/明日への誓い』は壮絶なバトルを通して、富や地位よりも大切なものを僕らに訴えかけてくる香港ノワールの傑作恋愛アクション映画と言えよう。