Frapenta

ゼイリブのFrapentaのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
5.0
最高。
久々にこんなに空想科学の面白さを感じられた。

消費社会において身の回りに溢れている商品が、行く先にはサングラスをかけたようなメッセージを体現しているのがちょっと考えると納得してしまう。また、サングラスをかけると擬態する宇宙人がバレるが、擬態しているのはどれも上層階級のようで、資本主義で成り上がった者たちが下層階級を支配しているメタファーのようにも思える。こんなにも可視化されるとそれをぶち壊したくなる気持ちもわかる。
U-NEXTの紹介文で「謎の長い喧嘩」と記載されていたが、本当に長い。こいつらいつまでやるんだと思いながら観ていたが、また味があっていいなと思った。宇宙人の支配は結構恐怖感を煽るのだけど、このシーンが一種の緩衝材になっていて、滑稽さがなんだか目を惹くものがあった。一応考察をするならば、彼らは下層階級なので、喧嘩をしても日常茶飯事で誰も止める人がいないし止める必要がないという残酷な現実を現しているのかもしれない。

そしてジョンカーペンター特有の終盤怒涛の展開は今回も健在。まずは反乱基地の崩壊。士気が高まっていたときの急襲、全滅で驚いた。そのあとテレポート機能を手に入れて宇宙人基地に侵入するが、そこには空想科学の快楽が溢れていてよかった。宇宙空間のテレポート装置が使われていたり、それが実在するラジオ局にあったりと、何ともワクワクしてしまう仕様だった。そして容赦ない登場人物の死亡である。こんなに愛着湧かせておいて殺すのもなかなかないと思う。しかし主人公サイドが崩壊しようとも宇宙人サイドもいずれ瓦解しそうなエンディングだったので、「いいもの観た」とすっきりできる。

一本完結の映画としてとても愛したい。
よかった。
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