ハレルヤ

僕の村は戦場だったのハレルヤのレビュー・感想・評価

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)
4.1
第2次世界大戦最中のソ連。故郷の村がナチスに滅ぼされて家族を皆殺しにされた少年イワン。復讐を誓ったイワンはソ連軍の危険な任務に挑むも、親代わりの上官たちは彼に学校へ通い普通の生活を送ってほしいと願う戦争ドラマ。

アンドレイ・タルコフスキー監督の初期の作品。映像美で見せる作風が多い印象ですが、本作は誤解を恐れずに言えば、まだ見やすい部類に入ると思います。

題材だけだとあの名作であり衝撃作である「炎628」に近い。あの作品は徹底的に悲惨な戦争の現実を投げ込み続けるスタイルに対して、本作はまだドラマ性が少し足されている印象。

故郷と家族を失った事でまだ幼いのに戦争へ自ら足を踏み入れるイワン。彼に同情するも真っ当に生きてほしいと願う上官たち。それでも戦う道を選ぶイワンの姿に、戦争がもたらす心の喪失と異常性が感じ取れます。

家族と共に過ごす時間。想いを寄せる少女との楽しいひと時。そういった回想シーンが挟まるのも現実との差異が思い知らされて、より一層印象的でした。

イスラエルをはじめとする戦地では今もこれと似たような事が起きていると察します。こんな思いをする子供や大人もいてほしくない。今だからこそ改めて全ての人に一度でいいから見てほしい作品だと思います。
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