イチロヲ

最高殊勲夫人のイチロヲのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
4.0
自由意志を尊重している活動的な女性(若尾文子)が、姉が主導する計略結婚に抗っていく。我を貫く女性の人生設計を描いている、ラブ・コメディ。源氏鶏太の同名小説を原作に取っている。

大企業の社長夫人に収まった姉(丹阿弥谷津子)の自己欺瞞に対して、自由主義者の主人公が反旗を翻す。情報戦・心理戦が軽妙洒脱に繰り広げられ、姉の夫(船越英二)とその弟(川口浩)が、したたかな女に翻弄される道化役として登場する。

親から家事を学んで、職場でお茶汲みして、婚約者と結婚して家庭を作る、という形式化された人生設計へのアンチテーゼ。いわゆるひとつの「ヒューマニズムとは何ぞや?」の系譜が取られている。

本作の若尾文子は「青空娘」のキャラを継続しているような印象。ショートヘアに清涼感があり、真っ白なうなじからフェロモンが噴出している。また、50年代末期の風俗が虚飾なしに収められているため、興味深い映像が連発する。
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