Maoryu002

青いパパイヤの香りのMaoryu002のレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
3.5
1951年、サイゴンのある家に10歳の少女ムイ(リュ・マン・サン/トラン・ヌー・イエン=ケー)が使用人としてやって来る。一家には主人の家出や祖父の死など、様々な不幸が訪れる。10年が経ち、ムイは長男の友人クェン(ヴォン・ホイ)の家で働くことになる。

インドシナ戦争からベトナム戦争に向かう時代の、朝ドラと昼メロを組み合わせたような話だった。
ただ、これはストーリーよりもベトナムの当時の生活や風習を覗き見られる点で貴重な作品だ。
裕福な家とはいえ、屋内にカエルや虫がいて、ほとんど野外。次のクェンの家ではフランスの文化がしっかり根付いている。

奉公先の家族はそれぞれに、無関心、身勝手、忍耐、無慈悲、奔放という言葉を象徴する人たちで、亭主が有り金持って愛人に走ると、妻が責められるというとんでもない世界だ。

一方のムイは忍耐の象徴というか自然体。そんな彼女の受け身な生き方は、今の時代では取り上げられないだろうけど、そこもまた時代を感じた。

残念なのはクェンの魅力が全く分からなかったところ。最後までムイのこと、というか女性のことを見下しているように見えた。そこもまた時代か…
Maoryu002

Maoryu002