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オール・ザ・キングスメンのkojikojiのレビュー・感想・評価

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)
3.5
第22回アカデミー賞(1950)作品賞他主演男優賞、助演女優賞を受賞。

実在する政治家ルイジアナ州元知事ヒューイ・ロングをモデルとした作品。主人公ウィリー・スタークの人生がジャーナリストでウィリーの参謀であったジャックの視点で描かれた物語だ。

たかだか109分の映画だが、人の一生を見たような気持ちになる。それぐらい彼も、周りも大きく変化していく。波瀾万丈の人生ドラマ。

この映画は2007年リメイクされている。その時のキャストはショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンスというアカデミー賞俳優陣。こちらも楽しみな作品だ。


新聞記者のジャック・バードン(ジョン・アイアランド)がウイリー・スターク(ブロデリック・クロフォード)と初めて会ったのは、ウイリーがメイソン州の会計主任だった頃である。ウイリーは、メイスン市に新しく建築された小学校の校舎建設に不正を見抜き、批判する。そして彼の言うとおり、欠陥のあった壁の崩落事故が発生する。数百人の死者が出た大惨事は、彼の人気は大きなものにする。

ウイリーは、最初の州知事選に敗れたが、苦難の末、メイスン州の知事になる。
ウイリーの権力は、次第に絶大なものとなり、王の様に民衆の上に君臨する。しかし、ウイリーがあれほど忌み嫌っていたはずの汚職、ワイロ、恐かつ等に自身の手を染め、派手な女性スキャンダルも公然と口にされるようになっていた。


実直で貧しい農民の救済を訴え社会革命を目指した男が、権力の虜になり次第に腐敗していく様は、いつの時代にも、あらゆる国で見聞きする。と言うことはこれが人間本性の一段面なのかもしれない。

初選挙の時、あんなに初々しかった候補者が、当選を重ねるうちに、選挙手法と嘘と誤魔化しだけを覚えていく姿をどれだけ間近に見てきたことか。
政治家先生だけの話ではない、権力を握ったバカどもの腐敗した姿は見るに耐えれない。本人がそれに全く気づかないのをいつもが不思議に思っていた。変わっていないと思っているだけにタチが悪い。

主人公のスタークを演じるクロフォードは当選するまでの顔つきと知事になった後の顔つきがごろっと変わる。彼はこの映画で主演男優賞を取っているが、知事に惜しくも落選した選挙において、雷に打たれたように演説が一変するシーンがある。この演説はすごく迫力があり、この映画の見どころでもある。




ー ☕️ ー

調べてみると、主演のブロデリック・クロフォードは日本映画「人間の証明」(1977)ニューヨーク市警察27分署長役で出演している。

監督:ロバート・ロッセン
脚本:ロバート・ロッセン
原作:ロバート・ペン・ウォーレン
『すべて王の臣』

原作の原題: All The King's Men はイギリスの伝承童話ハンプティ・ダンプティの詩の一部に由来している。
それば次のような詩だ。

Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men
Couldn't put Humpty together again.[1]
ハンプティ・ダンプティが塀に座った
ハンプティ・ダンプティが落っこちた
王様の馬と家来の全部がかかっても
ハンプティを元に戻せなかった
(ウィキペディアより)

パンプティ・ダンプティとは「ずんぐりむっくり」の意味らしい。

2023.01.22視聴32
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