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月山
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『月山』に投稿された感想・評価

Omizu

Omizuの感想・評価

3.2
【1979年キネマ旬報日本映画ベストテン 第6位】
『遠野物語』などの村野鐵太郎監督作品。森敦の同名小説を原作とし、アカデミー外国語映画賞日本代表に選出されるなど高い評価を得た。

村野鐵太郎は『遠野物語』もそうだったけどイマイチピンとこないなぁ。雰囲気はいいし、叙情的な描写も悪くないんだけど。

月山山麓の寺で一人の青年が冬を越すというだけの映画。期待を裏切るような展開があるわけでもなく、非常に淡々と冬の村を映している。

途中「通りがかりの人をミイラにした」なんて話をされるから急にホラーが始まるのかと思ったらそんなこともなく。

都会でドロップアウトした青年の心理を描いたドラマ、という感じ。淡々とした描写はいいのだが、あまり心に残るものがない映画だった。これはこれでいい作品だとは思うけど。
森敦の芥川賞受賞作『月山』(1973)の映画化。監督は「鬼の詩」(1975)の村野鐵太郎。アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。友里千賀子のデビュー作。

山形県の修験道霊場・月山。その麓の豪雪地帯にある湯殿山注蓮寺に、社会からドロップアウトした青年(河原崎次郎)が一冬を過ごしたいとやってくる。かつて即身仏を生んだその寺で、青年は古文書を張り合わせた囲いを作り寝床とする。ある晩、村で最も魅力的な若い娘(友里千賀子)が寝床で彼を待っていた。。。

先日、出羽三山(月山・湯殿山・羽黒山)を旅した折に本作を知り鑑賞。現地で得た知識が本作鑑賞の上で大きな手引きとなった。

①日本に現存する即身仏17体のうち、10体が出羽湯殿山系の即身仏
②出羽参拝は“東の奥参り(陰)”と呼ばれ、“西の伊勢参り(陽)”と対を成す
③羽黒山は「現世」、月山は「死後」、湯殿山は「未来」を秘める

つまり本作の舞台は日本最高の霊地ということである。これほど沢山の仏像が映し出される劇映画を他に観たことが無い。本作は現代の日本人が日本古来の宗教で現状を突破できるかどうかを描こうとしている。

主人公は現代の生活に行き詰まり空海が開いた山奥の寺に逃避する。冬は交通手段が途絶える豪雪地の村は閉塞的で、“村外の男と一緒になると不幸になる”という迷信の元、月に一度開かれる村内の宴会は下世話な笑いで盛り上がり密通も行われる。主人公にも男女の縁はあるものの、結局は何も行動を起こすことはせず、ただ大根汁を食す日々が続く。果たして、春を待たずに主人公は山を下りる。

彼は何を悟ったのか?一個の石が読み解く上での重要なカギとなるが、非常に文学的で簡単には解らない。原作の解題として“1970年前後のカウンターカルチャーの潮流だった現代文明批判(暗黒舞踏やヒッピーなど)の総括”と語られていた。これには同意できる。現代人は現代の現実からは逃げられないということだろう。映画の終盤、主人公は冬の月山を遠くに眺め「初めて見たのに何だか懐かしい」とつぶやく。月山は「死後」の山だ。人生は無から始まり無に終わる。誰もがその間を生きているにすぎないことを、今一度思い出させられた。

未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん ~論語より


冬期は観光客など入れない出羽三山の様子も鑑賞できる貴重な一本。一方で驚きなのは、古来より「語るなかれ、聞くなかれ」とされ、現在も撮影禁止の湯殿山の御神体が映っていた事。実は「湯殿山麓呪い村」(1984)でも映りこんでいた。当時は解禁していたのか???
半兵衛

半兵衛の感想・評価

3.8
学生運動からドロップアウトして各地のダムを転々として働いている青年が、お世話になった住職の紹介で冬のあいだ山形県の月山にあるお寺をおとずれ、瞑想でもするかのように雪に包まれた寺に閉じ籠り春の訪れと同時に寺を出ていくさまを淡々と描いたドラマ。

舞台の半分が家のなかではあるが北風や吹雪など冬ならではの音を効果的に使い出演する役者の演技の上手さも相まって本当に冬のお寺にいるような底冷えする感覚が伝わってきて彼らの生活を体感しているような気分に。そして高間賢治による雪の美しさとその奥に潜む凍えるような冷たさをとらえた撮影も素晴らしく映画の世界を一層深める。

主人公の青年は劇中では自分の過去を語らないが、端々の言動から今までの自分の行動に疑問を持ち今後の自分の方向性を示唆する何かを掴みたくて各地を旅していることが理解できる。そんな彼が冬の寺にひたすら寒さに耐えるようにたたずむことで精神を鍛える修行をおこなっているようで、絵面としては淡々としているのにまるで自分の心の内部と向き合っている錯覚に陥る。そしてこの映画を見終えたあと、主人公のように修行から何かを掴んで外に出たような気分になるはず。

出演者もスターに該当する人物はいないものの、テレビでは悪役が多いが本作では実直な青年を演じる河原崎次郎をはじめ複雑な過去を抱えている寺を管理している滝田裕介、月山に住んでいる現地人にしか見えない稲葉義男(七人の侍の一人)や片桐夕子に井川比佐志、コミカルな言動で観客をほっこりさせる菅井きん、冒頭のみに出演して得意の老人芸を披露する北林谷栄など役者たちはみな好演しており味わい深さを増す。

ラスト、終の文字の代わりに出てくる文章の素晴らしさに心が沁みる。

ちなみに冬の間大雪のため外出することが出来ず、黙々とひたすら薪から割り箸を作り上げる滝田裕介の姿があまりにも馴染みすぎてお寺の妖怪に見えてくるる、そんな彼が作る様々な形に切った大根だけが入った味噌汁も何故だか美味しそうで強く印象に残る。

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