お洒落な映像で変態性が薄れているけれど、SM官能映画にしか見えない。セックス依存症の娘アデルを自殺から救い、ナイフ投げの的として育てあげるガボール(ダニエル・オートゥイユ)。興行の途中でもアデルは行きずりの男とところ構わず求めあう。
ナイフ投げの的になったことで恐怖による刺激的快感を覚えたアデルは、ガボール以上に快感を与えてくれる男性はいないと思うようになるのだが…。
アデル役のヴァネッサ・パラディはジョニデの元パートナー。小悪魔な雰囲気で興奮の極限を演じている。
アデルはナイフ投げで小さな傷を負って手当てしてもらうのがうれしい。誰からもケアしてもらったことのない欠乏感あるアデルは痛々しいんだけど、これを純愛といえるのか、何もしなければプラトニックっていえるのかは大きな疑問で、ガボールの目はギラギラしているし、アデルは誰かれ構わず挑発する視線を送るし、勝手にやったれ、と思ってしまった。好きな方ごめんなさい。
好みの作品ではなかった。
映像はお洒落で、フランス、モナコ、イタリア、イスタンブールの船旅だった。
初パトリス・ルコント監督。いくつかリストに入っているけれど、ロマンス系はあわなさそう。