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刑事のkojikojiのレビュー・感想・評価

刑事(1959年製作の映画)
3.8
名曲中の名曲「死ぬほど愛して」(原題:Sinno' me Moro)がこの映画のテーマソング。そのインパクトは小学生の私ですら口ずさんでいたほどだった。
「♪アモーレ、アモーレ、アモーレ、アモーレ・ミオ~」
アリダ・ケッリが切々と歌い上げるこの曲は、なんと監督のピエトロ・ジェルミ自身が作詞したものだ。作曲はカルロ・ルスティケリ。
イタリア🇮🇹映画の名作と言われるのは、この曲の影響大だが、映画そのものもなかなか面白い。サスペンスだ。

1955年ピエトロ・ジェルミが監督兼主役の『鉄道員』から、4年後の1959年制作の映画だ。鉄道員と同く、主演と監督はピエトロ・ジェルミ。



 ある日、ローマのアパートで殺人事件が起きる、被害者はバンドゥッチ家夫人のリリアーナ。事件の捜査に当たるイングラヴァーロ警部(ピエトロ・ジェルミ)は、彼女の夫やいとこの医師ヴァルダレーナを有力な容疑者としてにらむが、何も決め手はない。 
 実はこの家の隣で1週間前に盗難事件があり、イングラヴァーロ警部はその犯人を追っているところだった。

 しかし、この殺人事件を追う中、リリアーナの夫やそのいとこの医師ヴァルダレーナ、女中アスンティナ(クラウディア・カルディナーレ)らと接するうちに、彼らの様々な人間模様が浮かび上がってくる。
 イングラヴァーロボ警部はリリアーナは多額の遺産を所有しており、この相続に殺人事件が絡んでいるに違いないと推理するのだが…

 イタリア🇮🇹のお国柄で、会話がいちいち熱く、喧嘩を始めるのも度々、これには少しうるさく感じはするが、その中でピエトロ・ジェミニだけが何やら沈着冷静でカッコいい。
 ちょうど、クリント・イーストウッドが俳優のクリント・イーストウッドのカッコ良さを知っているのと同じ感じがする。

「散々追いかけた有力な容疑者の追求がラスト近くまで続き、結果は犯人ではなかった。そして振り出しに戻ったときそうか!のヒラメキ💡」
このパターンはサスペンス映画のある種の定番になっているが、この映画あたりから始まったのかもしれない。

テーマ曲「死ぬほど愛して」が流れる中、ラストクラウディア・カルディナーレが逮捕された恋人を泣きながら追いかけるシーンは何度観てもジーンとくる名シーンだ。


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