みや

ミセス・ダウトのみやのレビュー・感想・評価

ミセス・ダウト(1993年製作の映画)
4.0
はっきり言って、「いくら変装がうまいからと言って、14年も一緒に暮らした相手のことがわからないなんてあり有る?」というところはツッコミたくなる。けれど、その設定だからこそ、描き出せる家族関係の悩みや再生の物語がとてもよくできていて、最後まできちんと観させる。状況は特異だが、そこに立ち現れている問題は、普遍性があって、決して誰かを一方的に断罪するようなつくりになっていないところが誠実だった。それに、ロビン・ウィリアムズが、ちょっとヤンチャなワルぶりを見せるところもよい塩梅。

子どものことは大好きだけれど、妻のことにまでは気持ちが向けきれなかった夫。身の回りのことも、最後は妻にさせていたことの自覚もなかった。妻も、その不満を抱えながら、夫に気持ちを伝えられず、一緒にいてカリカリする自分が嫌になっていく。そういった辺りが、決定的なズレになる前に埋まればとも思うが、幸せは人それぞれ。家族にも色々な形があるし、どこにどのような形で暮らしていても、お互いを思いやる気持ちが大切なんだというメッセージは、ちゃんと伝わった。環境が変わることで見えてくることが多いというのは、とてもリアルだと思った。

ジェンダーに関わるちょっとした描写が、時代を感じさせる部分もあって、そんなところも興味深かった。

NHKBSで視聴
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