《闇の帝王》復活の事実が白日の下に晒された事でデスイーターの活動が活発化。行方不明者が続出し、マグルの世界にも影響が出始めていた。Dumbledore(Michael Gambon)はHarry(Daniel Radcliffe)を伴い、かつてホグワーツで教鞭を振るっていたHorace Slughorn(Jim Broadbent)の許を尋ねる。
This book is the property of The Half Blood Prince.
◆ But I am the chosen one.
David Yates監督による魔法ワールド二作品目であり、シリーズの六作品目。四作目『炎のゴブレット』でついに《闇の帝王》が復活を遂げ、五作目『不死鳥の騎士団』でその復活が明るみになりました。かつて《闇の帝王》がもたらした暗黒時代が再来したかの様に活気が無くなってしまった世間の様子が、印象的なロングショットを多めに描かれています。
デスイーター以外の《闇の帝王》に与する勢力の筆頭株である《狼人間》のFenrir Greyback(David Legeno)が今作から登場。児童向け文学作品に登場するキャラクターとは思えないほど残忍な性格(子供を積極的に狙って噛み付き、狼人間にする。噛んで同族にするだけでは飽き足らず、時には獲物を食い殺す。)や、主要キャラクターとの因縁(Lupinが人狼になった原因)にまでは言及されていませんでしたが、強烈なビジュアルで比較的印象深くキャラクタライズされていました。
全体的にダークな雰囲気に包まれた作品でしたが、ユーモラスなジョークが散りばめられたウィットに富んだ会話によって、重苦しい雰囲気が幾分か緩和されていた様に感じます。会話の質の高さはシリーズ随一のクオリティ。ちょっと下品でしたが、スラグ倶楽部の一幕が特に印象的でした。
What is this I'm eating, by the way?
ー Dragon balls.
“ところで、俺が食べてるこれは何?”
“ドラゴンのタマタマ”
前作でホグワーツを退学し、ダイアゴン横丁に悪戯専門店を開業した双子のWeasley兄弟の台詞を表現するかのように、ダークとユーモアのバランスが取れた仕上がりでした。
Fred reckons people need a laugh these days.
“こんな時代だからこそ笑いが必要なんだ。”
◆ About time, don't you think?
今作『謎のプリンス』で遂に主要メンバーたちのロマンスが収まるべきところに収まります。HarryとRon(Rupert Grint)の男子組は今作でもしっかり鈍感で素直じゃないお子ちゃま仕様なので、女子の方からお膳立て。
『秘密の部屋』で《リドルの日記》から救ってくれたHarryを、今度はGinny(Bonnie Wright)が《半純血のプリンス蔵書》から救い出す演出は好きです。クッキーあーんも、靴紐も、めちゃくちゃドキドキしました。
That can stay hidden up here too, if you like.
これは反則すぎる!惚れてまうやろ!!
『炎のゴブレット』から「いつになったらくっつくのか」とヤキモキさせられたRonとHermione(Emma Watson)の関係も遂に決着。RonがLavender(Jessie Cave)との関係にうつつを抜かしている間もHermioneの懐と愛情のなんと深いこと!
Excuse me, I have to go and vomit.
元々失礼で鈍感なRonでしたが、今作のHermioneは一言でバサッと切り捨ててしまう格好よさ。Ronは絶対にHermioneを手離してはいけないと思う。
◆ But in the end, their greatest weapon is you.
今作では《闇の帝王》其の人のルーツに迫ります。原作小説では《闇の帝王の母親》にあたる女性の出自を交えて、魔法社会における闇が炙り出されていましだが、映像作品においては《闇の帝王の力の秘密》のみにフォーカスされていました。
『不死鳥の騎士団』ではHarryを避けていた校長Dumbledore(Michael Gambon)が、今作ではHarryを伴い二人三脚で《闇の帝王の力の秘密》即ち如何にすれば奴を完全に消滅させる事が出来るのか、弱点を探る記憶の旅に出掛けます。
You know, at times, I forget how much you've grown. At times, I still see the small boy from the cupboard.
“私は君がいくつになったか忘れてしまう。私には未だに君が物置から出たばかりの少年に見える。”
Harryを見守ってきた校長の慈愛に満ちた台詞。今後の苦難と悲しい運命を思うと胸が苦しくなります。
DumbledoreがVoldemortの弱点を探っていた様に、Voldemortもまた唯一警戒すべき偉大な魔法使いを如何にして排除すべきか思案していました。校長は全てを見抜いていましたが、Voldemortはジョーカーとしてホグワーツに在籍する学生のDraco Malfoy(Tom Felton)を抜擢します。本シリーズにて彼に当初与えられていた《意地悪な同級生》というキャラクターには分不相応な役回り。小物感が殊更に際立っていました。
今作における最重要人物は《半純血のプリンス》こと「かつてはデスイーター」であり「現在は不死鳥の騎士団メンバー」である《吾輩》でした。
皆が悲しみにくれたラストシーン。失意の中で天にかざした杖に灯りがともり、闇の印を打ち払ったシーン。『アズカバンの囚人』における校長の新学期の挨拶が思い起こされました。
“暗黒の中でも幸福を見出すことは出来る。
ー灯りをともすことさえ忘れなければ。”
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さーきとよーだのハリポタマラソン。
三作目『アズカバンの囚人』と一、二位を争う実写化シリーズお気に入り作品が今作『謎のプリンス』でした。
本日からついに《としまえん》跡地に《メイキング・オブ・ハリー・ポッター》が開演。気になりすぎて、行きたすぎて、夜しか眠れません!