囚人13号

翼よ!あれが巴里の灯だの囚人13号のレビュー・感想・評価

翼よ!あれが巴里の灯だ(1957年製作の映画)
3.8
偉大なるチャールズ・リンドバーグの太平洋横断を描いた伝記映画。
まず1927年当時の時代考証が正確なのが好印象で、ジーグフェルドの流行歌「リオ・リタ」が冒頭で流れるとリアタイ世代への配慮を感じる。

物語は回想と大記録挑戦前夜からの現実を行き来するが、多少の中弛みよりもサスペンダーおじさんや名刺ネタ、巴里穴など作品を彩るユーモアを楽しめたかな。
(後寄りの)中盤でようやく紆余曲折を経ての離陸。かなり長々と引っ張られる割に迫力や感動は想定内であるが、それは人知を超えた偉業を成し遂げた着陸時に見事に結実している。満身創痍となった彼の視界に"巴里の灯"が映る瞬間の情動の高まりによって映像の持つ魔力が画面を覆うとき、映画はリンドバーグの武勇伝そのものを凌駕する。しかし凱旋の記録映像には幻滅する人と感心する人とに別れそう。

DVDジャケット裏に掲載されている一言の批評に痺れる。一度でいいからあんな風に書いてみたいぜ。
囚人13号

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