月うさぎ

スピードの月うさぎのレビュー・感想・評価

スピード(1994年製作の映画)
4.4
ノンストップ・アクション。この映画にあるのは単なる疾走感ではない。本当にバスがずっと疾走し続けているんだから!
タイトルもシンプルにSPEED!
誰もが映画に釘付けになるでしょう。
実写のカーアクションは多々あれど、大型バスが女性の運転で爆走するなんてアイディア、どうやって思いついたんだろう?

時速80キロ(50マイルね)以上で走り続けないとバスを爆破しちゃうよ〜と、爆弾魔のパラノイアな犯人。これがまた、憎らしいけど可愛く見えちゃう位クレイジー。
お金を取ったら人質は邪魔なのよ、とっとと一人で逃げなさいよとか、ツッコミ所はあるんですが、全てストーリーの展開のため。エンタメのお手本的脚本です。
高速道路が「15mだけ」未完って有り得ないでしょ。でもどうしてもバスを飛ばせたい監督が本当にバスをジャンプさせたりとか、サンドラ・ブロックに本当に運転席に座らせて(実際に運転した部分もあるそうです。ちゃんとこのために大型免許を取って)何台ものバスを改造したりしながら、手作りなリアルさがたまりません。

でもこれらのアクションだけではなく、実は犯人とジャックの知恵比べが見ものなのです。警察の動きを熟知し、ジャックをからかい残酷に楽しんでいるペイン。涼しい表情で無茶をするキアヌと老獪なデニス・ホッパーの対比がまた絶品。
とにかくキアヌのほっそりした少年っぽい姿に見惚れます。精悍ってこのことね。
サンドラ・ブロックの自然な振る舞いもなくてはならない要素です。スピード強で免停中のワイルドキャット。とても似合ってます。人物造形もきちんとしていて違和感なく、心の動きも自然です。当時、役者のことを何も知らなかった私でもこの二人はとても素敵だと思ったのですよ。

あの手この手と次々に繰り出す作戦の応酬
頭脳と行動で勝るのはどっちだ?!
ホッと息をついたら、まだ早かった!の繰り返し。
いゃ〜、やはりこの映画は好きだわ。

最後にどうしても言っておきたい。
この映画がなぜ類似作品がないのか、二作目がなぜコケたのか。
それはジャックの存在の孤高さによります。
彼がバスを救おうとしたのは、職務上の責任でもなく、惚れた女を救うためでもなく、金のためでもない。自らの性質に基づく正義感、言い換えれば本能的に突進してしまう男なんですね。怖いくらい純粋。
そんなジャックを演れるのは、キアヌのような本当に綺麗な人だけなんです。
顔がきれいってだけじゃダメですよ。
他の人がやったら違うジャックになるでしょう。
ワイルドだったりマッチョだったり暑苦しかったりオタクだったり非人間的ヒーローだったりクールガイだったりヤンチャだったり。
ね?どれも、本作のジャック・トラヴェンではなくなりますよね?

いい映画はいつも、シナリオ、キャスト、監督の奇跡のマリアージュってことですよね。
月うさぎ

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