いち麦

異人たちとの夏のいち麦のネタバレレビュー・内容・結末

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

山田太一の原作小説は未読。家族との和やかな関係が記憶に残る者にとっては死んだ肉親に会いたい気持ちに至極共感。特に自分が社会に出てからは、急死してしまった親に人生の先輩として聞きたい話は尽きないと思う。たわいもない会話や遊びに時間が流れていく親子団欒の場面がもどかしくもあり沁みた。

主人公が死んだ人間と交流を持つというのは割とよくある話。この物語では第三者にもその姿が見えたり、死者本人が自分は死んだ人間であると自覚していたりする点はユニーク。
ただ、現実世界に繋ぎ止めてくれると期待した女性ケイ(名取裕子)までもが既にこの世にいない存在だったのは身体の傷などから早々に読めるものの、いざそうと分かると正直冷めてしまった。更に彼女から主人公(風間杜夫)を引き剥がし現実に連れ戻そうとするのが、別れた妻の新しい交際相手でもある仕事仲間(永島敏行)というのも何だかしっくりこなかった。
また、両親がどうして自分の前に姿を現したのか、最後に消えてしまう理由とともに描かれていればもっと揺さぶられたかも知れない。
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