一人旅

未完成交響楽の一人旅のレビュー・感想・評価

未完成交響楽(1933年製作の映画)
3.0
ヴィリ・フォルスト監督作。

19世紀オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトを題材とした人間ドラマで、売れない音楽家のシューベルトの恋と創作を描きます。

オーストリアで教師をしながら作曲活動に情熱を注いでいる貧しい音楽家シューベルトの恋を中心に描いた作品で、質屋の心優しい素朴な娘と快活な伯爵令嬢という対照的な二人の女性に時間差で惹かれていく主人公の身分の違いによる悲恋を描いています。

シューベルトの作曲活動とその成果に焦点を当てた音楽映画というよりも、二人の女性との初心な恋路の顛末を描いた恋愛ドラマとしての色合いが濃い作品となっています。それでも、授業に勝手に音楽を持ち込んで解雇されてしまう場面やクライマックスの「未完成交響曲」演奏シーン等ではシューベルトの音楽愛と創作の成果が表現されています。

作曲家シューベルトの創作上の苦悩ではなく、オーストリア&ハンガリーにおける紆余曲折の恋路をさらりと見つめた三角恋愛ドラマで、肖像画のシューベルトと映画で彼を演じたハンス・ヤーライの容貌が瓜二つなことに驚かされます。
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