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ミスティック・リバーのEyesworthのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.7
【刻まれなかった名前】

クリント・イーストウッドの代表作であるサスペンス。主演はショーン・ペン、ロビン・ウィリアムズ、ケヴィン・ベーコン。

〈あらすじ〉
雑貨屋を営むジミー(ショーン・ペン)の娘が惨殺された。ジミーの幼なじみで刑事のショーン(ケヴィン・ベーコン)が捜査を開始するが、容疑者として浮かび上がったのはふたりの幼友達のデイヴ(ロビン・ウィリアムズ)だった。一方ジミーは復讐を誓いかつての犯罪仲間と独自に犯人を捜し始める…

〈所感〉
全く系統は違うが、ポスターの「もう一つのスタンド・バイ・ミー」という表現がまさに相応しい作品。少年時代の暗鬱なエピソードが将来に影を落とすというプロット。直情的で喧嘩っ早いジミーを演じたショーン・ペン、一番まともに成長した冷静沈着なショーンを演じたケヴィン・ベーコン、過去のトラウマによる傷を引き摺る内向的なデイヴを演じたロビン・ウィリアムズ、と三者のキャスティングがドンピシャでそれぞれがハマり役で飽きなかった。ミステリーなので一体誰が犯人なのか?が勿論メインストーリーではあるが、それ以上に過去の出来事から各人物の奥行きを巧妙に描いており、一体何がこのような事態を招いたのか?を我々に考えさせられる題材となっている。冒頭の悪ガキ三人の中で唯一名前がコンクリートに刻まれなかったデイブ。『許されざる者』と同様に罪から逃れられない人間の生き様を描いてきたクリント・イーストウッドらしい作品。スコップで心臓をえぐり取られて埋められるような後味の悪さなので、何度も見たいような作品ではないが、この記憶は台風でも来ない限り簡単には洗い流されないだろう。
ミスティック・リバーは世人の罪を洗い流すことはなく、骨と共に川底へと沈殿させる。
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