Eryyy678

プリティ・ウーマンのEryyy678のレビュー・感想・評価

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)
4.3
会社を買収して、解体して売り捌く実業家の男(リチャード・ギア)が、フッカー(売春)を生業とする女(ジュリア・ロバーツ)と関わっていくうちに、その心の在り方や考えも変わっていく。

人も、モノも、金で買える時代。
しかしその内実は、泡のように虚しく消えていく。後に残るのは空疎な感情だけ。
男も、どこかでそれをわかっていたのではないでしょうか。マネーゲームに興じても、彼の会社は何も生み出さない。
「船を作り続けたいんだ」と言った被買収先の社長の言葉が、良い対比になっている。
会社も人も、同じです。金によってばらばらに解体されたものは、二度とその魂を取り戻すことはないのですから。

そして男もまた、強欲さのないフッカーの女に惹かれたのです。なんせ彼女は最初、帰りのタクシー代にすら困っていたでしょうから。

金で人の心は買えない、とは言うけど。矜持を持った人間の心は金では買えない、というのが真実でしょうか。
金満こそ正義な資本主義の中においても、決して失ってはならないものがある。それこそがその人を″紳士″たらしめ、そして
″淑女″たらしめるのでしょう。大金で上等な服で着飾ったって、内実が伴わなければ、それはとても空虚な人間であるように。
Eryyy678

Eryyy678