イチロヲ

悪魔スヴェンガリのイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔スヴェンガリ(1931年製作の映画)
4.0
催眠術を駆使することができる音楽家の男が、画家に恋している若い娘を自分仕様の歌姫へと变化させるべく、縁切り工作を企てる。ジョージ・デュ・モーリア著「トリルビー」を映像化している、ゴシック・ホラー。

長身&髭ボーボーという風貌で立ち回るジョン・バリモア、妖しい魅力を振りまくマリアン・マーシュ。この両者が、絶妙な掛け合いを展開させていく。パリが舞台だが、リアル路線ではなく、ゴシック調の風景が創作されている。

音楽家の男は、催眠術(魔術)を使えば使うほど、心臓にダメージを負っていくというキャラ設定になっている。歌姫を催眠術で引き寄せることに成功するのだが、その反動で身をやつしていく。そして、向けられている恋心が、虚構であることに気づかされる。

ヒロインが不憫でならないシナリオ展開だが、女性ヴォーカリストと男性プロデューサーの奇妙な関係性、ひいては高みを目指そうとする人間の狂気的行動が、エモーショナルに描かれている。
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