カトゥ

127時間のカトゥのレビュー・感想・評価

127時間(2010年製作の映画)
4.0
岩に挟まってしまった登山家が体験した、悪戦苦闘の“127時間”を描く。
肉を切らせて骨を断つ、なんて表現があるが、この映画では自分自身の肉や骨こそが脱出を阻む敵であり、もう想像しただけで身体に力が入ってしまう。肩こりに悩む人、歯を食いしばる癖のある人は要注意だ。
でも映像としてはとてもスタイリッシュで、このある種密室劇じみた閉塞した状況であっても、延々と集中して観ることができてしまう。

自分も年に2回程度の登山を趣味としている。ここまでの苦境は(今のところ)経験に無いけれど、でもそれでもひやっとする事は多いし、そもそも苦しい事ばかりなのが「山ヤ」の当たり前なのだ。でもやはり、目指してしまう。山の魅力というのは、他に代えがたい。
なぜ山を目指すのか、という問いには多くの答えがあるが、この映画を最後まで観ることで、言葉や文章にはし辛い、「そこに山があるから」以上の“理由”が伝わるのではないだろうか。
そういうわけで、山に登る人、そして山に登らない人、どちらにもお薦めできる映画だった。

それにしても濃厚な90分だった。まるで127時間、というと嘘だが、それでも目がそらせない。
カトゥ

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