櫻イミト

伯林-大都会交響楽の櫻イミトのレビュー・感想・評価

伯林-大都会交響楽(1927年製作の映画)
3.5
ドイツの実験映画監督ヴァルター・ルットマンによるベルリンの都市ドキュメンタリー。撮影・脚本は同年の「メトロポリス」(1927)や「魔人ドラキュラ」(1931)の名カメラマン、カール・フロイント。

ベルリンの夜明けから夜の喧騒までの1日を、多様なロケーションと老若男女の姿を積み重ねてスケッチする。

都市映像で構成している点で、同時代のロシア映画「カメラを持った男」(1929)と比較して論じられることが多い一本。両作の違いは、同作は主観的であり、本作は客観的なことだと感じた。個人的には本作の方が物語性があり人の温もりが感じられて楽しめた。

都市をドキュメンタリーで撮る場合は観察眼とセンスがモノを言う。その点、カール・フロイントの撮影は流石と思わせるカットが多かった。スタッフクレジットには脚本とあるが、何を撮るか、どのように編集するかを担ったのかもしれない。

和暦で昭和2年の作品。映画館のスクリーンに映るチャップリンの足元、遊園地のジェットコースターに、当時のドイツ・ベルリンへの認識を改めた。第一次世界大戦敗戦後からナチス政権樹立までの間=1919~1933年のワイマール時代の風景・・・。
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