アトミ

ZOOのアトミのネタバレレビュー・内容・結末

ZOO(1985年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

92点

夜。
嫌がるダルメシアンを無理やり動物園へ連れて行こうとする小学生くらいの姉弟?

ゲージの中を行ったり来たりする虎。
床に転がるシマウマの頭。
行ったり来たりをカウントする金髪男オリバー(674回)。

と、動物園の前の「スワン通り」で交通事故発生(動物園から逃げた白鳥と激突)。

右足のないゴリラのカメラ撮影をするオールバック男オズワルド。

事故現場ではレスキュー隊による救出が始まっていた。
が、後部座席に乗っていた2人の女性が死亡。
運転していたアルバは奇跡的に助かったが右足を失う(3人は友人)。

同時に妻を失ってしまい悲しみにくれるオズワルドとオリバー(動物園で働いている動物学者)。

生命の誕生、神秘、カタルシスについてのめり込んで行くオリバー。
死(腐敗の過程)を連続撮影(タイムラプス)していくオズワルド。まずはリンゴ。

そんな中。
園内をうろつく娼婦ミロ(あだ名ビーナス。黒スーツ。ゼブラヒール。白黒にこだわる)は黒スーツ男(園職員)に誘われるも、オズワルドとオリバーを慰めなきゃと断る(全身白スーツの両松葉杖謎の男がたたずむ)。

そんな中。
アルバを見舞うオリバー。
妻と友達だったことを知り話を聞く。
娘ベータ(26人子供が欲しくて2人目だからベータ)が蝶を捕まえたことがきっかけだったらしい。

妻の腐敗が耐えられないオズワルド。
アルバに死までの状況やファッションについて質問。エビを買ったと知る。

ミロに慰めて貰ったオリバー。
ミロとお話しながら興味を持った世を腐敗させるカタツムリを自分の体に大量にひっつける。サーカスの話(金儲け。動物園も同じと言われ)が琴線に触れ、ブチ切れてミロを部屋から追い出す。

次はエビをタイムラプスするオズワルド。
不可解な行動に同僚らも心配する。

ミロに慰めてもらったオズワルド。
リンゴが腐って行く動画を見せ、人間は胃から腐って行くらしいと説明する。
「兄弟なんだから仲良くしなさい」とミロに言われ「元気だせ」と伝言を頼む(ここで2人は兄弟だとわかる)。

その頃。
「妻が死んだのはお前のせいだ!」とブチ切れてアルバに花瓶の水をぶっかけたオリバー。
部屋に戻ってバスルームで事故現場で拾った割れた血つきガラスを食べる。
やってきたミロに止められ、事なきを得る。


オリバー入院(アルバと同じ病院)。
見舞いのオズワルド。
アルバの病室。
アルバが事故でお腹にいた3人目を亡くしたと知る。写真のアルバの生まれ故郷に行きたいと興味を持つ。
何だか分かち合えた3人。
オズワルドはエビの腐って行く動画を病室で披露する。

病院。
医師(アルバの主治医。画家志望のオランダ人でフェルメールと同じ。いとこはフェルメールの贋作家。変態)は兄弟がアルバと仲良くなる事が気に食わない。真っ赤帽子、真っ赤ドレス、真っ赤ヒールの妻に邪魔させる(医師がスカートをたくし上げた時にゼブラパンティーをベータに見られる)。

妻が死んだ事が納得いかないオリバーだったがアルバに慰められ熱いキス。

レストラン。
ベータと食事するオリバーとオズワルド。
ベータは奥のテーブルに座る真っ赤ドレス夫人のパンティークイズを出す。
オリバーは真っ赤夫人にパンティーの色を質問。「じっくり確かめなさい」と脅され、トイレに呼ばれたオリバーはイヤイヤスカートをめくる。と、ノーパン。
ビンタされ「アルバに近づくな!」と警告を受ける。


翌日。
義足を合わせるアルバ。
真っ赤夫人にバストサイズも測られる。

オズワルドとオリバー。
ベータにエンゼルフィッシュをプレゼント。

夜。
オズワルドは妻の死と関わった白鳥と繋がりが爬虫類(恐竜と鳥類の繋がり)にあると考え、そのビデオをアルバに観せる。
オズワルドにオリバーが動物園からカタツムリを盗んで蝶を放していると聞いた。アルバは故郷(実家)に行けばカタツムリが山ほどいると教える。
興味を持ったオズワルドはアルバから門のカギを受け取る。そして甘いキス。

動物園。
餌(食材?)の山。ホイテンが小型ワニを電気で殺す。

ゲージの中。
ミロと両松葉杖白スーツ男(両足なし)。
隣のゲージの中で行ったり来たりするシマウマ。
男は動物園を開くなら伝説の動物を置くためにミロと探したい。と話す。

医師は真っ赤妻にアルバに兄弟を近づけ過ぎだと忠告。
「私よりアルバに興味があるなら」とブチ切れる真っ赤妻。

警備員が小型ワニの死体を兄弟に売りつける。兄弟は欲しかった爬虫類が手に入り喜ぶ。

アルバは医師に無理やり「フェルメール」の画の女性のコスプレさせられ(ミロに洋服を作らせる)ピアノを弾かされる。
兄弟に助けを求める。

アルバの故郷「エスカルゴ」。
兄弟はアルバに利用されてると考えながらも自分たちも楽しんでいると答えを出す。
アルバが言ってた通り、ココにはカタツムリが沢山いる。


兄弟はアルバのために高級アパートを借り、住まわせる(動物園の近く)。
と、アルバは妊娠を打ち明ける。2人が父親だと。

エンゼルフィッシュのタイムラプス。

オリバーはカタツムリ、蝶に続き、フラミンゴも動物園から放つ(アパートの庭の噴水に群がる)。
園長がオリバーに警告。

夜。
兄弟とトランプする兄弟。
動物園警備員が白鳥の死体を持ってくる。


アルバは医師の勧め(背骨に負担だとか。実はフェルメールは女性の下半身描いていないから)も手伝い、「1人きりは可哀想」だと残った左足も切除する決意をする。
が、内心は悲しい。左足を見ながら「2本あるのは素敵。支え合うために2本ある」と泣き出す。
兄弟は「僕達は支え合ってる」と慰める。
そして「双子」をカミングアウト。アルバは何となくそう思ってたので驚かない。が、妻には「双子」だとは言ってなかったと聞いて驚く。
アルバは2人に左足にお別れとキスをさせ、「哀れな脚」だと呟き、号泣した。
ベータはそんなアルバをキリンの人形を持ちながら見ている。


術後。
両足を失ったアルバ。
目が覚めるとヘアスタイルがフェルメールの女性と同じになっていると気づきブチ切れて発狂。

小型ワニのタイムラプス。

嫌がるダルメシアンを無理やり動物園へ連れて行こうとする小学生くらいの姉弟(オープニングと同じ)。


アパート。
オリバーが「アルバが部屋に戻った記念にサイを逃がした」と報告。
噴水前にいるサイをアルバに見せる。
そして3人でベッド・イン。

そんな中。
噴水前では動物園関係者や警察がサイを捕獲するため網を持ってにじり寄る。
サイは後ずさり。

その頃。
3人はピロートーク。
双子は互いに片側にある「耳の下」「肩」「腰からスネ」までの傷を見せ、3歳まで「結合双生児」だったことをカミングアウト。
母親は「見世物」にしたくなかったため「口止め」していた。


二人三脚で街を走る双子。
ダルメシアンが横断歩道で事故に合い、死んでいるのを発見。悲しむ姉弟から譲り受け、動物園でタイムラプス。
ホイテンが園内で勝手なことをするなと双子を警告。特に「死んでる白黒の動物」を目の敵にしている。

双子は姉弟と一緒に撮影に入る。
大型になるほど腐敗に時間がかかり、人間で9ヵ月かかるのだそうな。

ゲージの外。
ミロと両松葉杖白スーツ男(両足なし)。
(ココから見える動物園の看板は「OOZ」になっている)
ミロは「『Z』と言えばなんで『ゼブラ』が出てくるの?」と質問。
白スーツ男は「他にいい単語がない。『Z』はゼブラのために作られた」と答える。
ゲージの中を走り回るシマウマ達。
男はミロに名を聞かれ「にじの男」だと答える。


アルバの故郷。
アルバは「死んだらここに埋めて欲しい。所で『彼』は見つかった?」と質問。
オリバーは「僕達を追い出す人を探したくない」と返答したが「子供を産むまでに見つけて」と釘を刺される。


動物園。
ミロがアルファベットを口にし、ベータがその頭文字に当てはまる動物を答えて行く。

白鳥のタイムラプス。


アパート。
医師はフェルメールの絵(妊娠女性)をアルバにプレゼント(懐妊祝い)。
フェルメールの妻カタリーナは14人も子を授かったが、自分のカタリーナ(真っ赤妻)は不妊だったためアルバにムラムラする。
アルバは絵を叩き返す。

ミロの仕立て屋。
双子は「2人で一緒に着るスーツ」を作って欲しいとミロに頼む。
ミロは「本を出版してくれたら下着も縫う」と条件を出した。

夜。
ゲージの中。
ホイテンとシマウマ。

アパート。
シマウマの断末魔の叫びにビックリして目を覚ますアルバ。


翌朝。
動物園。
双子はアルバとミロに「シマウマは動物園で唯一白黒だから規則正しく死ぬ」んだと説明(園内にいるパンダは既に剥製で園長が生きてるように見せている。とりあえず園長は動物を扱う資格無し。と)。
と、にじ男(アーカン・シェル)が車椅子でご対面。アルバが会いたかった「彼」とは彼だった。
アルバは「双子相手の娼婦よ」と自己紹介。アーカンは「その癖わかります。私はホーテンシアという妊娠した白馬にムラムラする」と自己紹介した。
そしてアーカンはミロにお礼だと「わいせつな動物のゲージ」という雑誌を渡す。


トラのゲージ。
双子はゲージの中に入って行く(一つ手前のゲージなので全然大丈夫)。
ゲージの外にはメディアがわんさか。
せっかくのスーツが台無しになると脱ぎ始める。
吠えるトラ。悲鳴をあげるミロ。


病院。
真っ裸の双子。
2人ともに足首辺りにケガをしている。
医師に「2人を結合て欲しい」と頼む。それで「コンプリート」になる。と。
医師は「自分がアルバの子の父親になること」を条件に出す。
そして今、自分の子を妊娠(3カ月。双子の妻とほぼ同じ)しているミロ。この病院で堕胎するから譲る。と(オスしか実験してないのでメスが加われば実験のコンプリート)。

動物園。
ホイテンは自分の子を妊娠しているミロを実験体にどうだ?と提案。
吹き出す双子。とりあえずゼブラの死体を買い取る。

夜。
双子とミロは動物園に忍び込んで右足のないゴリラを射殺(3年前医師に『片側』を取られ、苦痛に苦しんでいたため楽にしてやった)。実験体に。
園長は勝手に施設を使い、動物を逃がし、ゴリラを殺(虐待)した双子をクビにし、「腐った肉から得るものなどない!」と言い放つ。
が、双子は「腐敗は悲しみの深さ。色を知らぬ園長が作る白黒動物園。客を呼ぶために園外の白黒動物を殺し、園を利用し別の商売。動物を傷つけて高い手術代をとりやがる」と反論。ブチ切れた警備員に殴られる。


そんな中。
アルバは双子を出産。
双子は喜んだ。
そして「続き」を始めるためアルバの故郷「エスカルゴ」を使いたいとお願いする。

エスカルゴ。
ベータは庭に昆虫や小動物を集めてミニ動物園を作っていた。
入場料を払って見せてもらう双子。2人がそっくり過ぎるからと見分けるために手の甲にハンコされる。

アパート。
「子供の父親」は双子ではなくアーカンになってもらうと言い出すアルバ。
ブチ切れる双子だがアルバの気持ちは変わらない。

シマウマのタイムラプス。
その映像をエスカルゴでミロに作ってもらった「2人用スーツ」を着て観る双子。

夜。
アパート。
アルバは「出産でヘトヘト。今夜はレコードをかけて最後まで見送って」と双子に指示。
双子は条件に「アルバの死体」と「エスカルゴ9ヵ月間の使用許可」を提示。アルバはOKを出したが死体は「家族のもの」だから許可が降りないだろうと笑う。

アーカンがアルファベット「Z」を問うと『ゼブラ』と即答するベータ。

動物園。
シマウマのゲージの外。
ミロに挨拶するホイテン。
ホイテンは「今夜キミの考えを実行すべきだ」と下敷きとペンをミロに渡す。
ミロはヒールをホイテンに渡し、下敷きとペンを使い、ゲージのロックを外し、中へ。
そして「OOZ」の看板へ向かって行く。
嘶くシマウマ。

その頃。
アパート。
午前1時。
アルバは遺書にサインして封をしたと双子に伝え、ベータのレコード(Lupino Lane 『An Elephant Never Forgets』)を聴きながら眠るように息を引き取った。

と、ベータとアーカン(看護師が双子赤ちゃんを抱っこ)が部屋に入ってくる(アルバ家族)。
双子はアルバの撮影を望んだがアーカンは拒否。


エスカルゴ。
2人用スーツを着た双子。
以前スクリーンを貼っていたステージに上がり、レコードをかける(Henry Hall & His Orchestra - The Teddy Bear's Picnic)

全裸になり、薬を飲み、カメラのスイッチを入れ、前もって準備してあった台に座り、互いに腕に注射を打つ。
そして寝転がって眠るように息を引き取った。

大量のカタツムリが双子の体、レコード、カメラに群がる。

朝方。
電源がカタツムリによりショート。
カメラ停止。タイムラプスは途中で終了。






という感じなお話。
会話がややこしく難解なので間違いがあるかも。
とりあえず「シンメトリー」が印象的な作品。
「対」が持ってる「バランス」。
それが崩れる事で登場人物は苦悩して行く。
バランスを取り戻す。その「執着」。
この「執着」もこの作品の軸。

腐敗シーン。その変わり果てて行く姿は感慨深い。早送りとコミカルなサントラによりエグさは感じない。早い話「九相図」。
園長の「腐った肉から得るものなどない!」と双子の「腐敗は悲しみの深さ」。その思想、そのやり取りこそが「こっけい」なんだろう。
アトミ

アトミ