アキラナウェイ

恐怖の報酬のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(1953年製作の映画)
4.6
マリオとルイージが出て来るけど、ルックスのイメージが任天堂と逆だったよ。

リメイク版【オリジナル完全版】が話題になった事で、興味を持ったのがきっかけ。え?リメイクなのオリジナルなの?

オリジナルは1953年公開のフランス映画。
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品。

リメイクは1977年公開のアメリカ映画。
ウィリアム・フリードキン監督作品。
スターウォーズと公開が被った事で、興業的に大惨敗を喫し、同作を海外で上映する際に、配給会社はフリードキンに無断で121分の北米公開版を92分にカットしちゃったという。それで、【オリジナル完全版】が近年日本でも公開されて話題になったそう。

南米の町で、職がない貧しい移民達がたむろしている。マリオ(イヴ・モンタン)は、一見金持ちに見えるジョー(シャルル・ヴァネル)と、フランス人同士という事で意気投合する。そんなある日、500km先の油田で火事が発生。石油会社は火を消し止めるために大量のニトログリセリンを現場までトラックで運ぶにあたり、2,000ドルの報酬で運転手を募集する。

少しの衝撃で爆発してしまうニトロ。
安全装置のないトラックでの搬送は命懸け!!
2,000ドル欲しさに集まったのは、マリオ、ジョー、ルイージ、ビンバの4人。
彼らは2台のトラックに分かれ、500km先の目的地を目指す。

この脚本は面白い!!

ガタガタの悪路。
転回困難な狭路。
落石による行き止まり。
油が湧き出た沼。

こんなん無理!!
次から次へと巻き起こる災難が4人の男達の行手を阻む。

面白いのは人間関係の移り変わり。
序盤では、度胸があって自信に満ち溢れていた筈のジョーが、恐怖に苛まれていく内に怖気付いてしまう。マリオとの上下関係が次第に逆転し、ジョーが酷い扱いを受ける様になってかなり気の毒。何もせずに2,000ドルを受け取る気かとマリオに責め立てられるジョー。

俺の仕事は"心配担当"だ。
2,000ドルは"恐怖の報酬"。

マリオよ。ジョーに冷たく当たるなよ。
石を投げちゃいかんやろ!!顔に当たるし!!
ジョーが本当に可哀想。

巻き煙草の草がフワッと吹き飛ぶ描写が俊逸。
見せない事で恐怖を煽る名演出。
これは痺れる!!

「悪魔のような女」のヴェラ・クルーゾーがマリオにぞっこんなリンダを演じるが、ニトロが積まれた車にしがみついて、「マリオ、帰って来てね」と涙ながらに訴えるシーンがウザい〜!!危ないからしがみつくな。殺す気か。犠牲者が出ているというのに、マリオが帰って来ると知ってテンションが上がっているのも不謹慎で好きになれない。

油田の火事が大迫力!!
古い映画だし、リアルに燃やしたんだろう。
白黒なのに、火の勢いに圧倒される!!

これは面白かったので、是非リメイク版の【オリジナル完全版】も観てみたい!!