BOB

クリスティーンのBOBのレビュー・感想・評価

クリスティーン(1983年製作の映画)
3.5
スティーブン・キング原作、ジョン・カーペンター監督のスリラー映画。

"Whoa, whoa. You better watch what you say about my car. She's real sensitive."

愛が全てを喰い尽くす。内向的な高校生アーニーが、呪われた車"クリスティーン"の虜になっていく青春スリラー。

二人の関係性が興味深く、童貞拗らせティーンエージャーと嫉妬深い"彼女"との破滅的な恋人関係にも、抑圧的な世の中への不満を発散させていく共闘関係にも見えた。

なんといっても主役のクリスティーンが魅力的だ。ただならぬオーラを放つ妖しくミステリアスな存在。言葉こそ発しないものの、感情表現豊かで、確かな意思を持ったモンスター(狂人)として演出されていた。邪悪なヴィランでありながら、もし自分の愛車と意思疎通できたら、というファンタジー的な願望を刺激してくるので、少し羨ましくもあった。アーニーの"show me"に応えて、傷や凹みを自己修復し、フロントライトを光らせるシーンにはカタルシスがあった。

人殺し暴走車と化したクリスティーンのシリアル・キラー描写にはどれも興奮した。ギャングを路地に追い詰めて轢き殺すシーンや、燃え盛る火の海から炎を纏って生還するシーンなどが印象深い。ラストカットまで憎い!

アメリカ50年代の不良カルチャーへの憧憬のようなものも感じられた。『グリース』や、『理由なき反抗』のジェームズ・ディーンを想わせる服装や髪型、クラシックカー〈1958年型プリマス・フューリー〉、そしてロック🎸。

・アーニー家の近所として使われた街は、『ハロウィン』の撮影で使われた街と同じ。

"Let me tell you a little something about love, Dennis. It has a voracious appetite. It eats everything. Friendship. Family. It kills me how much it eats. But I'll tell you something else. You feed it right, and it can be a beautiful thing, and that's what we have."
"You know, when someone believes in you, man, you can do anything, any fucking thing in the entire universe. And when you believe right back in that someone, then watch out world, because nobody can stop you then, nobody! Ever!"

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