アキラナウェイ

ウィンターズ・ボーンのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ウィンターズ・ボーン(2010年製作の映画)
3.3
夢見る少女じゃいられない。

以前から気になっていたものの、なかなか手に取れなかった作品。しかし今日読んだフィルマガの記事にこの映画の事も触れられていたので、遂に背中を押されて鑑賞。

参考までにフィルマガの記事です。
https://filmaga.filmarks.com/articles/1954/
*スリー・ビルボードのネタバレを含みますのでご注意を。

ミズーリ州南部、17歳のリー(ジェニファー・ローレンス)は鬱病の母と幼い弟と妹の世話に明け暮れていた。麻薬の密造で逮捕された父が失踪してしまい、父が裁判所に出廷しないと、保釈金の担保とされている家と森が没収されてしまう。リーは家族の為、父を探し回るが…。

あああああああ
もう、辛い。暗い。cry。

これがヒルビリーと呼ばれる人達の因習か。
血縁関係にあっても面倒に巻き込まれるのを嫌悪し、人を遠ざける閉鎖的なコミュニティ、笑わない人々。州法よりも掟を重んじ、掟を破る者には容赦がない。

その中にあって強く生きる17歳の少女をジェニファー・ローレンスが逞しく演じる。

それでも家族全員の生活を支えるには、あまりに幼いリー。子ども達が無邪気に遊ぶ姿が合間で挿入されている点はフロリダ・プロジェクトに類似するものの、この映画はアメリカの闇をパステルカラーで塗り潰したりはしない。この映画が映すのはあくまで灰色の空だけ。

思い切って、ホラーやサスペンスに昇華されるならまだいい。何が怖いって、淡々とアメリカの現実だけを映し出しているのが怖い。

人種差別問題やヒルビリーに関心を持った人は是非。

それにしてもお口直しでウルトラハッピーな映画が観たい。