spoornerizm

八日目の蝉のspoornerizmのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
3.8
そうか、不倫相手によって奪われ育てられた“かおる“は「8日目の蝉」だったんだなぁと思った。
キワコの中絶された子が7日目の蝉だったのだろうか、と思ったが、そう簡単な対比に収まる話でもないだろうな。自分たちはこの世に誕生した時点でみんな「8日目の蝉」なのかも?とも。
つまり、生き抜いて行かなくてはいけない、この世にいる限り、綺麗なものを見ようとし、美味しいものを食べ、明るい方を見なくちゃいけないんじゃないか、と言うメッセージに受け取った。(ちょっとズレてるかも、だけど)

だって、あまりに救いがないプロット。でも展開が興味深くて離脱できなかった。
単純に男が悪いって良し悪しを相対化すればいいってもんでもないだろう。
あのエンゼルの組織に男性がいないのは何故か?そこで育った子が大人の女性になって男性の存在が受け入れられない、と言うのもまた、想像がつく現象で、この設定には「男を排除すれば問題は解決するのか?」と問われてるようにも思えた。

キワコは当初、刹那的な気持ちで誘拐を企てたのだろうか。キワコの心については、こっちの想像とは異なり語られることがない。作り手は彼女の側にも寄り添ってない。
ただ、ただカオルを慈しむキワコの姿に、心情に寄り添ってしまうこっち側。

キワコがいなければ、こんな事にはならなかった、そう単純に言えるんだろうか。夫が浮気をしなければ? 奥さんがキワコを追い詰めるようなことを言わなければ?

カオルの幼少期は確かに“かたわ“なものになったのかもしれない、けど、それだけじゃなかったっていう話なんだよね。
そこが難しいね。カオル自身が母親になるところに、実の親たちとの新しい関係が築けそうという所だけが、未来への希望かな。
spoornerizm

spoornerizm