悪魔の毒々クチビル

エクスクロス 魔境伝説の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

エクスクロス 魔境伝説(2007年製作の映画)
3.2
「チョキ…チョキ…チョキ」

二人の若い女子の温泉旅行先がヤバい風習に支配された村だったお話。


「そのケータイはXX(エクスクロス)」と言う小説の映画化作品で、原作の方は第一回「このミステリーが凄い!」大賞の最終選考まで残ったらしいです。
監督は色々と寒かった「バトロワ2」が個人的に悪い意味で印象的だった、巨匠の息子でもある深作健太。
存在だけは大分前から知っていたので今さら観てみました。
どうでもいいけど主人公の名前「しより」って珍しいよね。「しおり」は良く聞くけど。

どうやら原作とは輪郭部分以外は結構異なる内容らしく、しよりが村で見つけた着信中のケータイ、その物部と名乗るイケボな電話主の助言を頼りに村から脱出を試みる部分以外は割とふざけた内容になっています。

まぁ何より小沢真珠演じるレイカの存在感ですよね。
ゴスロリの格好で「本当の地獄を見せてやるぅ!」とハサミを振り回して襲い掛かる姿が、当たり前ですが大変印象的でした。
最終的にはシザーマンみたいなバカでかいハサミを振りかざしていたんだけど、どこにそんなんあったのかとか突っ込んではいけないのでしょう。
まぁこの人しよりには関心が無くて、実は友人の愛子への私怨でこの村まで追い掛けて来ただけなんですよね。
だから中盤のレイカとチェーンソー持った愛子のバトルも、ハイライト的な盛り上げ方している一方でそもそもしよりとかイカれた伝統に支配された村と言った主題が一切関係ないってのも、面白いっちゃ面白い。レイカも途中で「何だこの村は」とか言っていたし。
原作読んだことないけど、多分こんなシーンは無いような気がします。

終盤は村人に捕らわれたしよりの元に愛子だけでなくレイカも乱入して、邪魔な村人どもを巨大ハサミで片っ端から殺っていく展開が素敵。
ただ折角のゴアチャンスで凶器も独特なのに、シンプルに斬られたり刺されたりして血飛沫が舞う程度なのが勿体なかったです。
しよりと愛子の抵抗もグダっていたし。

オチ、と言うかあの人の正体は中々しょうもなくて良かったかな。案外そう言うもんよね、現実って。正直あそこは大した演技力も必要ないしキャスティングも正解だったと思います。

もしこれが原作に忠実な内容だったとしたら、当時どんだけミステリー不作だったんだってくらいサスペンス要素がオマケでしかないバカホラーでしたが、そうであったが故に楽しめた一面もあったのは事実。
メインキャストの演技もそんなに悪くなかったし(小沢真珠は声にもう少し凄味が欲しかったけど)、もっと振り切れていれば割と良作ホラーになっていのではと思いました。