よーだ育休中

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

4.0
1957年。ソ連のスパイに捕らわれたIndiana Jones (Harrison Ford)は、米軍倉庫に隠された《ロズウェル事件》に関連する《磁気を帯びたミイラ》の捜索を強いられる。辛くも敵の手を逃れた教授だったが、反共産主義の機運が高まる中「KGBに加担した」としてFBIから目をつけられ《赤狩り》の的になってしまう。大学を追われた教授の前にバイクに乗った青年が現れ、青年の母親と教授の旧友がペルーでKGBに捕まったと助けを求める。


◆ But they all had the same problem.
ーThey weren't you, honey.

19年越しに制作された人気シリーズの新作。評価はあまり高くないようですが、個人的には好きな作品でした。旧シリーズをリアルタイムで見れていない世代なので、今作の公開時に『懐かしい』という気持ちはありませんでしたが、お馴染みのマーチとセルフオマージュの数々には心が踊りました。

まず最初に教授のトレードマークである『フェードラ(中折帽)』そして『シルエット』を写す演出。控えめにテーマ曲の旋律を流す所からワクワクしました。

米軍の軍事機密を保管している倉庫では『レイダース』で「木を隠すなら森の中」と言わんばかりに隠匿された《聖櫃》が顔を覗かせるカットも。わかりやすく差し込んでくれる遊び心が嬉しい。

IndianaとHenryの親子関係がそのまま今度はIndianaとMutt(Shia LaBeouf)に置き換えられていて、『子供が自分で名前を変える』『親父の名前から犬の(ような)名前に変える』演出にもクスリときます。

過去三部作はヒロインがみな異なっていましたが、ヒロインたちの中でも一番Indianaとの掛け合いが良かったMarion(Karen Allen)のカムバックも嬉しい。やっぱり彼女が正ヒロイン。カムバックしたことは勿論ですが、彼女を演じたK.Allenがしっかり出演してくれていることが何より良かった。流砂にハマりながら喧嘩するシーンは特に好きで、何回も巻き戻してしまいました。

過去の探検家の墓からヒントを入手したり、大量の虫が湧いて出たり、教授の苦手な蛇が登場したり、人智を超えた超自然的なパワーによってヴィランが脱落するといった骨子はそのまま。二番煎じでは無く、過去の制作陣によるセルフオマージュが懐かしさを際立たせている様に感じました。合衆国内のパートでは、当時の世相を反映させた演出にも拘りを感じます。


◆ She was Stalin's fair-haired girl.

Indiana Jonesといえばナチスの敵。『魔宮の伝説』ではサギー教の残党と戦っていましたが、旧三部作のうち二作品でナチスの悪しき計画を挫いてきました。旧作において、実際にオカルトに興味を示していたというヒトラーの設定を上手く踏襲して作品にスーパーナチュラルのエッセンスを加えた手法はとても好みでした。

WWIIの終戦と共にナチス・ドイツは既に解体されているため、今作でIndianaはナチス・ドイツとは敵対しません。作中の舞台である1957年に合衆国の脅威となっていたのはソ連。当時は冷戦の真っ只中でした。

ソ連最高指導者の秘蔵っ子、読心術の心得を持つKGBのエージェントIrina Spalko(Cate Blanchett)が超常現象の軍事転用を目論見、各地で古代の異物を収集しているという設定。《オカルトを悪用せんとする民主主義の敵をヒーローが打倒する》骨子こそ今作の肝であると思っているので、『魔宮の伝説』ほどシリーズとしてブレていないと感じています。


◆ ROSWELL NEW MEXICO 1947

今作でIndianaが追い求める秘宝は、キリスト教の聖遺物ではなく中南米のオーパーツ。ストーリーも其処から着想を得たものになっていました。

︎︎︎︎︎︎☑︎ 海を渡った征服者《コンキスタドール》
︎︎︎︎︎︎☑︎ アマゾン奥地の黄金郷《エル・ドラド》
︎︎︎︎︎︎☑︎ 物語の鍵となる《クリスタル・スカル》

これらのエッセンスを繋ぎ合わせるのが《宇宙からの来訪者》という絡繰になっています。元々オーパーツは眉唾物ですから、フィクションの翼で脚色するのは製作側の遊び心が感じられて良いと思います。《ロズウェル事件》や《エリア51》は考古学とは関係の無いオカルトであり、Indiana Jonesらしさは確かに薄らいでいると思います。しかしながら『未知との遭遇』や『ET』手掛けたS.Spielberg、そして『スターウォーズ』を世に生み出したG.Lucasとの親和性は高い題材であったと思うのです。

西国からのコンキスタドーレスという史実を交えて、従来作品よりもややアメリカナイズされた雰囲気の続編は、個人的にはかなり好みでした。


~~~~~~~~~~~~~~°∠

インディ・ジョーンズの新作公開に向けて、過去シリーズをちぃちゃんとおさらい。
ちいちゃん最後までご一緒ありがとう!

新作公開はいよいよ来週!地上波(金曜ロードショー)でも今週、来週とインディ祭で、『運命のダイヤル』公開が今から待ちきれません!