アキラナウェイ

ライトスタッフのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ライトスタッフ(1983年製作の映画)
4.0
米ソが宇宙開発競争で激しく鎬(しのぎ)を削っていた時代。マーキュリー計画に従事した7人の宇宙飛行士達の実話を基に描いた作品。

原題の"The Right Staff"というのは、"相応しい資質"の意。

ソ連の世界初の人工衛星スプートニク1号打ち上げ成功の報せを受けたアメリカは、新たにアメリカ航空宇宙局(NASA)を創設して、各軍の精鋭パイロットから宇宙飛行士候補者を募る。かくして、厳しい検査を経て7人(マーキュリー・セブン)が選ばれる—— 。

「トップガン マーヴェリック」ではマッハ10の高速飛行に挑戦する姿が描かれていたけれど、本作の1940年代後半では、マッハ1の壁に挑むテストパイロットのチャック・イェーガー(サム・シェパード)。

てっきり彼が主人公で、マーキュリー・セブンに選ばれるかと思いきや…

選 ば れ な い ! !

おおっと。
割とキツめの肩透かしやん。

デニス・クエイドは随分若く見えるのに、エド・ハリスは今とそんなに変わらない様に見える不思議。…髪の毛の量かな?

"選ばれた"7人の宇宙飛行士達と(その道を)"選ばなかった"1人のパイロット。

この7人と1人の描き方が実に上手い。

成功した1人目アラン・シェパード(スコット・グレン)と、着水ミスをしてしまった2人目のガス(フレッド・ウォード)との扱いの差が世知辛い。夫の不甲斐なさに妻も嘆くという…。

トラブルに見舞われながらも、地球を3周して帰還したジョン・グレン(エド・ハリス)。そして、22周に成功したゴードン・クーパー(デニス・クエイド)。

7人全員にスポットライトが当てられた訳ではないものの、3時間以上に渡る長尺も飽きさせないのは、編集の巧さに因るものか。

マーキュリー計画がやがてアポロ計画(「アポロ13」)に繋がっていくのだと思うと感慨深い。

やっぱり宇宙ってロマンがあるなぁ〜。

武力侵攻が罷り通る現代に比べれば、米ソで宇宙開発競争に明け暮れていた冷戦時代の方がいくらか平和だったのかも知れない。なんて事を思ったりもする。